- 密度の計算を分かりやすく教えて!
- 密度の問題の解き方を教えてほしい……
- 密度のまとめノートを書く例が知りたい
密度は、中1理科で生徒の皆さんを苦しめる計算問題です。しかし、実は「g/cm³」という単位さえ覚えれば問題は解けるのに、重要なことを学校ではきちんと教えてくれません。
私は大手進学塾講師歴3年、教員歴13年以上をかけて小中高生の理科の指導に現場で携わってきました。また、入試対策問題集の出版社との契約歴もあり、理科教材を100冊以上、比較研究してきました。
そこでこの記事では、中学理科の現役教員による「中1理科の化学分野-密度の求め方-」を、どこよりも分かりやすく解説します。
私が16年かけて培ってきた塾講師・教員経験を凝縮しました。密度の計算をマスターしてテストで活躍したい方は、ぜひ最後までお読みください。
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理科の密度とは|密度=質量÷体積
物質の体積1cm³あたりの質量(g)を、密度といいます。
例えば、同じ大きさの箱にティッシュペーパーと鉄の塊を入れたら、どちらが重たいでしょう。
もちろん、鉄の塊ですね。
実は、物質によって、同じ大きさでも質量がちがうんです。
いろいろな物質の密度は、次のとおりです。
- 金 : 19.3 g/cm³
- 銀 : 10.50 g/cm³
- 銅 : 8.93 g/cm³
- 鉄 : 7.86 g/cm³
- 亜鉛 : 7.12 g/cm³
- アルミニウム: 2.69 g/cm³
- 鉛 : 11.34 g/cm³
- 水 : 1.00 g/cm³
- 氷 : 0.92 g/cm³
- ポリエチレン: 0.90 g/cm³
密度は、物質の体積が1cm³の場合の質量(g)だといえます。
密度の表し方・単位
密度の単位は、g/cm³です。g/cm³はグラム毎立方センチメートルと読みます。
なお、gはグラムと読み、cm³は立方センチメートルと読みます。
「/(スラッシュ)」は「毎(まい)」と読み、数学における「÷(割る)」と同じ意味です。
例えば、1/2は「1÷2」と同じ意味です。また1/2は「2分の1」と同じ意味になります。分数における横線を、ななめにしていると考えるといいでしょう。
なお、世界的には「÷」の記号を使っている国は少なく、多くの国では「/」をつかって、算数や数学のわり算をしています。
「/」が「割る」を意味するため、密度(g/cm³)は質量(g)を体積(cm³)で割ることを意味します。
理科の計算は、単位を理解すれば答えが見えるのです。単位の成り立ちと、記号の意味をしっかりと理解しておきましょう。
密度の求め方・計算方法
密度を求める公式は次のとおりです。
密度(g/cm³)=質量(g)÷ 体積(cm³)
なお、質量は電子てんびんや上皿てんびんではかり、体積はメスシリンダーではかりとります。
(例題)質量63.0g、体積6.0cm³の物質の密度を求める。
質量の求め方|質量をはかる実験
質量は物質そのものの量のことです。
質量の求め方は、主に次の3つです。
- 計算で求める
- 上皿てんびんではかる
- 電子てんびんではかる
なお、質量の単位は「g(グラム)」や「kg(キログラム)」です。
計算での質量の求め方
次の式で計算できます。
質量(g)=体積(cm³)× 密度(g/cm³)
密度の基本公式『密度(g/cm³)=質量(g)÷ 体積(cm³)』における質量を「=」の左辺に移項すると、質量の公式ができます。
上皿てんびんでの質量の求め方
上皿てんびんを用いると、物質の質量をはかれます。
上皿てんびんでは、分銅という質量の決まっているおもりをつかいます。
上皿てんびんの具体的なつかい方は、次のとおりです。
準備する
- 左右の振れ幅が等しくなるように調節ねじを回す
はかりとる
- 左右両方の皿に薬包紙をのせる
- 一方の皿に分銅をのせる
※右ききなら左の皿に分銅 - もう一方の皿に薬品をのせ、つり合わせる
※指針が左右等しく振れていることを確認する
片づける
- 片づけるとき、一方の皿に重ねておく
電子てんびんでの重さの求め方
電子てんびんを用いると、物体の重さをはかれます。
- 薬包紙をのせたあと、0点スイッチを押す
→0.00gを示す - 薬品を少しずつ静かにのせて、一定量をはかりとる
体積の求め方|体積をはかる実験
体積は物体の見た目の大きさ(かさ)のことです。
体積の求め方は、主に次の2つです。
- 計算で求める
- メスシリンダーではかる
なお、体積の単位は「cm³(立方センチメートル)」や「mL(ミリリットル)」、「L(リットル)」です。
1cm³=1mLで計算します。
理科の計算では「cm³」を用いることが多いです。
計算での体積の求め方
次の式で計算できます。
体積(cm³)=質量(g)÷ 密度(g/cm³)
密度の基本公式『密度(g/cm³)=質量(g)÷ 体積(cm³)』における体積を「=」の左辺に移項すると、質量の公式ができます。
メスシリンダーでの体積の求め方
メスシリンダーでは、液体や固体の体積をはかりとれます。
固体の体積のはかり方は、次のとおりです。
- メスシリンダーに水を入れ、水の体積をはかる(A)
- メスシリンダーをななめにかたむけ、固体をゆっくりと水中に入れる(B)
- 固体の体積 =(B)-(A)
なお、浮いてしまう物体は細い針金などで物体を押して、水に沈めてから体積をはかります。
(例題)水だけ入れたメスシリンダーの目盛りは6.0cm³だった。物体を水中に入れ、体積をはかると11.0cm³になった。物体の体積はいくらか。
(式)11.0(cm³)- 6.0(cm³)= 5.0(cm³)
(答え)5.0(cm³)
【中1理科】物体の浮き沈みと密度
物体の浮き沈みについて、理解すべきことは次の一つだけです。
- 密度が大きいものは沈み、小さいものは浮く
密度が大きいということは、同じ体積の場合の質量が大きいということです。
密度が異なるものを同じ容器に入れた場合、質量の大きいものが底に沈み、質量が小さいものが上に浮かびます。
例えば、水の密度は1.0 g/cm³で、氷の密度は0.9 g/cm³であるため「氷は、水に入れると浮く」ことになります。
氷が浮く理由は「氷の密度が、水の密度よりも小さいから」です。
また、エタノールの密度は0.8 g/cm³で、氷の密度は0.9 g/cm³であるため「氷は、エタノールに入れると沈む」ことになります。
氷が沈む理由は「氷の密度が、水の密度よりも大きいから」です。
なお、覚えておくべき密度は「水は、1.0 g/cm³」だけです。そのほかの物質の密度は暗記する必要がありません。
物体の浮き沈みについては「密度大なら沈み、小なら浮く」と理解しておきましょう。
【中1理科】密度のグラフ
上図は次の4つの物質の密度を示したグラフです。
- 亜鉛 ; 7.12 g/cm³
- アルミニウム ; 2.69 g/cm³
- 金 ; 19.3 g/cm³
- ポリエチレン ; 0.90 g/cm³
点Aから点Eまで5点ありますが、4つの物質についての密度が示されています。
密度のグラフに点しか書かれていない場合、まず各点を通る直線を引くことが重要です。
グラフに線を加えたときにおさえるべき2つの考え方があり、次のとおりです。
- 同じ直線上なら、同じ密度である
- 直線の傾きが急なら密度が大きく、
傾きがゆるやかなら密度が小さい
グラフの見方
上図のグラフでは、横軸が体積(cm³)・縦軸が質量(g)を示しています。
グラフを読み取る練習として、次の例題1から例題4について考えてみましょう。答えは空白部分を長押しすると見えます。
(例1)体積が最大の点は何?また、その点の体積はいくら?
(例1の答え)最大の点はE、点Eの体積は9 cm³
(例2)体積が最小の点は何?また、その点の体積はいくら?
(例2の答え)最小の点はA、点Aの体積は1 cm³
(例3)質量が最大の点は何?また、その点の体積はいくら?
(例3の答え)最大の点はC、点Cの質量は36 g
(例4)質量が最小の点は何?また、その点の質量はいくら?
(例4の答え)最小の点はD、点Dの質量は5.5 g
体積と質量が分かれば、密度を求められます。
なお、密度のグラフをテストで見つけたら、下図のように直線を引くことがポイントです。
点までではなく、グラフの端まで線を引きましょう。
同じ直線上にある物体
密度のグラフでは、グラフを分かりやすくするために、点を通る直線を引くことがポイントです。
直線を引くと、点Aから点Eまで5点あるのに、直線は4本だけ引くことになります。点Bと点Cは、同じ直線上にあるということが分かります。
密度のグラフにおける同じ1本の直線は、すべて同じ密度です。同じ密度ということは「同じ直線上にある物体は、同じ物質でできている」と言えます。
グラフを読み取り、各直線の密度を求め、何の物質でできているか求める練習をしましょう。なお、各物質の密度は、亜鉛(7.1 g/cm³)、アルミニウム(2.7 g/cm³)、金(19.3 g/cm³)、ポリエチレン(0.9 g/cm³)とします。
(例1)点Aを通る直線の密度は?何の物質?
体積1cm³のとき質量がおよそ19gなので、
密度=19 ÷ 1 =19 g/cm³
(答)密度19 g/cm³、金
(例2)点Bと点Cを通る直線の密度は?何の物質?
体積7cm³のとき質量がおよそ50gなので、
密度=50 ÷ 7 =7.1 g/cm³
(答)密度7.1 g/cm³、亜鉛
(例3)点Dを通る直線の密度は?何の物質?
体積10cm³のとき質量がおよそ10gなので、
密度=9 ÷ 10 =0.9 g/cm³
(答)密度0.9 g/cm³、ポリエチレン
(例4)点Eを通る直線の密度は?何の物質?
体積10cm³のとき質量がおよそ27gなので、
密度=27 ÷ 10 =2.7 g/cm³
(答)密度2.7 g/cm³、アルミニウム
傾きが急な直線
各直線の密度は計算できるため、上図のグラフについて、次のようにまとめられます。
- 物質Aの密度は、およそ19 g/cm³
- 物質Bの密度は、およそ7.1 g/cm³
- 物質Eの密度は、およそ2.7 g/cm³
- 物質Dの密度は、およそ0.9 g/cm³
密度の大きさで各点を並べると、A>B>E>Dの順で密度が大きいことが分かります。また、直線の傾きで各点を並べると、A>B>E>Dの順で傾きが急になっています。
グラフの傾きと密度の関係は、次のとおりです。
- 直線の傾きが急なら、密度が大きい
- 直線の傾きがゆるやかなら、密度は小さい
【中1理科】密度を計算して物質を求める実験
教材追加作業中…coming soon…
【中1理科】密度の練習問題
密度の練習プリントを3パターン用意しましたので、ぜひ解いてみてください。
理科や数学などの計算は、たくさん問題を解くことで、知識が定着します。
「分かる」と「記憶する」は別です。問題をたくさん解くことで「分かった」ことを脳が「記憶する」ようになります。
テストによく出る問題を厳選しましたので、ぜひ練習問題に取り組んでみましょう。
密度の計算練習プリント(1)
密度の計算練習プリント(2)
≫密度の計算練習プリント(2)の答え 教材追加作業中…coming soon…
密度の計算練習プリント(3)
≫密度の計算練習プリント(3)の答え 教材追加作業中…coming soon…
【まとめ】
この記事では密度について学習しました。
理科の計算問題の必勝法は「単位を覚える」こと。密度の公式と単位などについて、下のノート図にまとめました。
密度=質量÷体積の公式を単位に気をつけて覚えるようにしましょう。
密度の計算のために必要な体積の求め方については、下のノート図のとおりです。
体積の求め方について、特に重要なのは次の2点です。
- メスシリンダーを10分の1まで読み取る
- 体積=質量÷密度
密度の計算には質量の求め方も必要なので、下のノート図のようにまとめました。
質量の求め方は次の2点に注意するといいでしょう。
- 質量は上皿てんびん、電子てんびんではかる
- 質量=密度×体積
物体が沈むか浮くかについては、物体の密度で決まります。下のノートのようにまとめたので参考にしてください。
上のノートには、密度のグラフについてもまとめておきました。密度のグラフはテストでも出やすいので、自分でノートに書いてまとめておくといいでしょう。
勉強は、頭に入れる作業を3割、問題を解く時間を7割にすると科学的に効果的な学習になります。
理科の勉強にお困りではありませんか?
勉強の最短ルートは、分かっているひとに教えてもらうことです。
\分からない理科を『分かる』に変える!/
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まとめノートだけ書いて満足してしまうのではなく、問題をたくさん解いて、結果の出る学習になるように取り組みましょう。