そこでこの記事では、理科の計算が苦手な方でも理解できるよう、中1理科の化学分野『密度の求め方』を解説します。
私が17年かけて培ってきた塾講師・教員経験を凝縮しました。密度の計算をマスターしてテストで活躍したい方は、ぜひ最後までお読みください。
【密度とは?】密度=質量÷体積
物質の体積1cm³あたりの質量(g)を、密度といいます。
例えば、同じ大きさ(体積)の箱にティッシュペーパーと鉄の塊を入れたら、どちらが重たいでしょう。
もちろん、鉄の塊ですね。同じ大きさ(体積)でも、物質の種類が変われば質量に差が出ます。
いろいろな物質の密度は、次のとおりです。
物質の密度の例
- 金 : 19.3 g/cm³
- 銀 : 10.50 g/cm³
- 銅 : 8.93 g/cm³
- 鉄 : 7.86 g/cm³
- 亜鉛 : 7.12 g/cm³
- アルミニウム: 2.69 g/cm³
- 鉛 : 11.34 g/cm³
- 水 : 1.00 g/cm³
- 氷 : 0.92 g/cm³
- ポリエチレン: 0.90 g/cm³
密度は、物質の体積が1cm³の場合の質量(g)だといえます。
密度の表し方・単位
密度の単位は、g/cm³です。g/cm³はグラム毎立方センチメートルと読みます。
なお、gはグラムと読み、cm³は立方センチメートルと読みます。
「/(スラッシュ)」は「毎(まい)」と読み、数学における「÷(割る)」と同じ意味です。
例えば、1/2は「1÷2」と同じ意味です。また1/2は「2分の1」と同じ意味になります。分数における横線を、ななめにしていると考えるといいでしょう。
なお、世界的には「÷」の記号を使っている国は少なく、多くの国では「/」を割り算の記号としてつかっています。
理科の計算は、単位を理解すれば答えが見えるのです。単位の成り立ちと、記号の意味をしっかりと理解しておきましょう。
密度の求め方・計算方法
密度を求める公式は次のとおりです。
密度(g/cm³)=質量(g)÷ 体積(cm³)
なお、質量は電子てんびんや上皿てんびんではかり、体積はメスシリンダーではかりとります。
63.0(g)÷6.0(cm³)=10.5(g/cm³)
答え 10.5 g/cm³
質量の求め方|質量をはかる実験
質量は物質そのものの量のことです。
質量の求め方は、主に次の3つです。
質量の求め方
- 計算で求める
- 上皿てんびんではかる
- 電子てんびんではかる
なお、質量の単位は「g(グラム)」や「kg(キログラム)」です。
計算での質量の求め方
次の式で計算できます。
質量(g)=体積(cm³)× 密度(g/cm³)
密度の基本公式『密度(g/cm³)=質量(g)÷ 体積(cm³)』における質量を「=」の左辺に移項すると、質量の公式ができます。
上皿てんびんでの質量の求め方
上皿てんびんを用いると、物質の質量をはかれます。
上皿てんびんでは、分銅という質量の決まっているおもりをつかいます。
上皿てんびんの具体的なつかい方は、次のとおりです。
準備する
- 左右の振れ幅が等しくなるように調節ねじを回す
はかりとる
- 左右両方の皿に薬包紙をのせる
- 一方の皿に分銅をのせる
※右ききなら左の皿に分銅 - もう一方の皿に薬品をのせ、つり合わせる
※指針が左右等しく振れていることを確認する
片づける
- 片づけるとき、一方の皿に重ねておく
電子てんびんでの重さの求め方
電子てんびんを用いると、物体の重さをはかれます。
電子てんびんの使い方
- 薬包紙をのせたあと、0点スイッチを押す
→0.00gを示す - 薬品を少しずつ静かにのせて、一定量をはかりとる
体積の求め方|体積をはかる実験
体積は物体の見た目の大きさ(かさ)のことです。
体積の求め方は、主に次の2つです。
体積の求め方
- 計算で求める
- メスシリンダーではかる
なお、体積の単位は「cm³(立方センチメートル)」や「mL(ミリリットル)」、「L(リットル)」です。
1cm³=1mLで計算します。
理科の計算では「cm³」を用いることが多いです。
計算での体積の求め方
次の式で計算できます。
体積(cm³)=質量(g)÷ 密度(g/cm³)
密度の基本公式『密度(g/cm³)=質量(g)÷ 体積(cm³)』における体積を「=」の左辺に移項すると、質量の公式ができます。
メスシリンダーでの体積の求め方
メスシリンダーでは、液体や固体の体積をはかりとれます。
固体の体積のはかり方は、次のとおりです。
固体の体積のはかり方
- メスシリンダーに水を入れ、水の体積をはかる(A)
- メスシリンダーをななめにかたむけ、固体をゆっくりと水中に入れる(B)
- 固体の体積 =(B)-(A) ※増えた体積が固体の体積
なお、浮いてしまう物体は細い針金などで物体を押して、水に沈めてから体積をはかります。
(式)11.0(cm³)- 6.0(cm³)= 5.0(cm³)
(答え)5.0 cm³
【中1理科】物体の浮き沈みと密度
物体の浮き沈みについて、理解すべきことは次の一つだけです。
密度が大きいものは沈み、小さいものは浮く
密度が異なるものを同じ容器に入れた場合、質量の大きいものが底に沈み、質量が小さいものが上に浮かびます。
例えば、水の密度は1.0 g/cm³で、氷の密度は0.9 g/cm³であるため「氷は、水に入れると浮く」ことになります。
氷が浮く理由は「氷の密度が、水の密度よりも小さいから」です[/chat]
また、エタノールの密度は0.8 g/cm³で、氷の密度は0.9 g/cm³であるため「氷は、エタノールに入れると沈む」ことになります。
「水の密度は1.0 g/cm³」だけは覚えましょう。そのほかの物質の密度は暗記する必要がありません。
密度のグラフ|中1理科
密度をテーマにした問題として、よく下のようなグラフ問題が出題されます。本章では、密度グラフについて解説します。
上図は、次の4種類の物質の密度を示したグラフです。
- 亜鉛 ; 7.12 g/cm³
- アルミニウム ; 2.69 g/cm³
- 金 ; 19.3 g/cm³
- ポリエチレン ; 0.90 g/cm³
点Aから点Eまで5点ありますが、4種類の物質についての密度が示されています。
つまり、点の位置はちがうけど、同じ種類の物質が1つあるということです。
密度のグラフに点しか書かれていない場合、まず各点を通る直線を引くことが重要です。
グラフに直線を引くのは、直線から次のようなことが分かるからです。
密度グラフと直線
- 同じ直線上なら、同じ密度である
- 直線の傾きが急なら密度が大きい
- 直線の傾きがゆるやかなら密度が小さい
グラフの見方
上図のグラフでは、横軸が体積(cm³)・縦軸が質量(g)を示しています。
グラフを読み取る練習として、次の例題1から例題4について考えてみましょう。
最大の点はE、点Eの体積は10 cm³
最小の点はA、点Aの体積は3 cm³
最大の点はA、点Aの質量は約58 g
最小の点はD、点Dの質量は約6 g
体積と質量が分かれば、密度を求められます。
密度のグラフをテストで見つけたら、下図のように直線を引くことがポイントです。
同じ直線上にある物体
密度のグラフでは、グラフを分かりやすくするために、点を通る直線を引くことがポイントです。
直線を引くと、点Aから点Eまで5点あるのに、直線は4本だけ引くことになります。点Bと点Cは、同じ直線上にあるということが分かります。
密度のグラフにおける同じ1本の直線は、すべて同じ密度です。同じ密度ということは「同じ直線上にある物体は、同じ物質でできている」と言えます。
グラフを読み取り、各直線の密度を求め、何の物質でできているか求める練習をしましょう。なお、各物質の密度は、次のとおりです。
物質の密度
- 亜鉛 ; 7.12 g/cm³
- アルミニウム ; 2.69 g/cm³
- 金 ; 19.3 g/cm³
- ポリエチレン ; 0.90 g/cm³
体積2cm³のとき質量がおよそ40gなので、
密度=95 ÷ 5 =19 g/cm³
(答)密度19 g/cm³、金
体積11cm³のとき質量がおよそ30gなので、
密度=30 ÷ 11 =2.72… g/cm³
(答)密度2.7 g/cm³、アルミニウム
体積7cm³のとき質量がおよそ50gなので、
密度=50 ÷ 7 =7.14… g/cm³
(答)密度7.1 g/cm³、亜鉛
体積11cm³のとき質量がおよそ10gなので、
密度=10 ÷ 11 =0.9… g/cm³
(答)密度0.9 g/cm³、ポリエチレン
傾きが急な直線
各直線の密度は計算できるため、上図のグラフについて、次のようにまとめられます。
- 物質Aの密度は、およそ19 g/cm³
- 物質B(E)の密度は、およそ2.7 g/cm³
- 物質Cの密度は、およそ7.1 g/cm³
- 物質Dの密度は、およそ0.9 g/cm³
密度の大きさで各点を並べると、A>B(E)>C>Dの順で密度が大きいことが分かります。
また、直線の傾きで各点を並べると、A>B(E)>C>Dの順で傾きが急になっています。
グラフの傾きと密度の関係は、次のとおりです。
- 直線の傾きが急なら、密度が大きい
- 直線の傾きがゆるやかなら、密度は小さい
密度を計算して物質を求める実験|中1理科 化学
上皿てんびんとメスシリンダーを用いると、物質の密度や物質の種類を見分けられます。
例として、ある物質Xについて考えましょう。
上皿てんびんで質量をはかる
ある物質Xは下図の分銅とつり合いました。
1000mg=1g だから200mg=0.2g
10(g)×2+1(g)+0.2(g)×3=21.6
答〕21.6 g
メスシリンダーで体積をはかる
水50cm³を入れたメスシリンダーに物質X入れると、下図の目盛りを示しました。
物質Xの体積=増加後の体積ー水だけの体積だから
58.0-50.0=8.0
答〕8.0cm³
質量と体積から密度を求める
密度は質量と体積から求められます。密度を求める公式は次のとおりです。
密度(g/cm³)=質量(g)÷ 体積(cm³)
密度=質量÷体積
=21.6÷8.0
=2.7
答〕2.7g/cm³
密度から物質の種類を見分ける
密度は、下図のように物質によって決まっています。
密度が2.7g/cm³ということから表を読み取る
答〕アルミニウム
密度の練習問題|中1理科 化学
密度の練習プリントを3パターン用意しましたので、ぜひ解いてみてください。
理科や数学などの計算は、たくさん問題を解くことで、知識が定着します。
密度の計算練習プリント(1)
密度の計算練習プリント(2)
密度の計算練習プリント(3)
【まとめノート配布】密度は単位ごと理解する
この記事では密度について学習しました。
理科の計算問題の必勝法は「単位を覚える」こと。密度の公式と単位などについて、下のノート図にまとめました。
密度=質量÷体積の公式を単位に気をつけて覚えるようにしましょう。
密度の計算のために必要な体積の求め方については、下のノート図のとおりです。
体積の求め方について、特に重要なのは次の2点です。
- メスシリンダーを10分の1まで読み取る
- 体積=質量÷密度
密度の計算には質量の求め方も必要なので、下のノート図のようにまとめました。
質量の求め方は次の2点に注意するといいでしょう。
- 質量は上皿てんびん、電子てんびんではかる
- 質量=密度×体積
物体が沈むか浮くかについては、物体の密度で決まります。下のノートのようにまとめたので参考にしてください。
上のノートには、密度のグラフについてもまとめておきました。密度のグラフはテストでも出やすいので、自分でノートに書いてまとめておくといいでしょう。
まとめノートだけ書いて満足してしまうのではなく、問題をたくさん解いて、結果の出る学習になるように取り組みましょう。