中学理科の現役教員けいが「中2理科の生物分野-排出のしくみと腎臓や肝臓のはたらき–」を、どこよりも分かりやすく解説します。
この記事を読むと、テストに出る問題を意識してつくられた最強のまとめノートにそって学習できるため、腎臓や肝臓のはたらきがすぐ理解できるようになります。
私が17年かけて培ってきた塾講師・教員経験を凝縮しました。大好きな理科を理科のテストで活躍したい方はぜひ参考にしてください。
【排出とは】不要物を体外へ出す|中2理科 生物
本章で出てくるキーワードは次のとおりです。
- 排出
- 排出系
- 汗
- 尿
本章では、排出系のうち、汗、尿のしくみを詳しく解説します。
【本章で学べる内容】
- 排出系とは
- 排出のはたらき
- 尿をつくるしくみ
尿をつくるしくみ
尿がつくられる手順を簡単に示すと次のようになります。
【尿がつくられる手順】
- 細胞呼吸によりアンモニアができる
- 肝臓がアンモニアを尿素に変える
- 腎臓が尿素から尿をこし出す
- 尿が輸尿管を通る
- 膀胱(ぼうこう)で尿をためる
詳しく解説します。
1.細胞呼吸によりアンモニアができる
ヒトのからだの中では細胞のひとつひとつが、細胞呼吸をしてエネルギーをとり出しています。
細胞呼吸でエネルギーをとり出すしくみは、次のとおりです。
【細胞呼吸のしくみ】
- 細胞内では、酸素をつかって、ブドウ糖やアミノ酸、脂肪などの栄養分を分解する
- エネルギーをとり出す
- ブドウ糖や脂肪を分解すると、二酸化炭素と水ができる
- アミノ酸を分解すると、二酸化炭素と水だけでなくアンモニアもできる
アンモニアは有害なので、体外へ出さないといけません。
細胞から出たアンモニアは血管に入り、肝臓へ運ばれます。このとき、血しょうがアンモニアを運びます。
細胞呼吸について復習したい方は、下の記事が参考になります▼
2.肝臓がアンモニアを尿素に変える
運ばれてきたアンモニアは、肝臓により尿素に変えられます。
尿素は血管を通り、腎臓へ運ばれます。
3.腎臓が尿素をこし出し尿をつくる
腎臓では、血液中から尿素や余分な水分、塩分をこし出し、尿をつくります。
尿は輸尿管へ運ばれます。
腎臓は血液から、尿素や余分な水分、塩分のみをとり出し、必要なものを血液へ返します。
血液からさまざまな物質をとり出すはたらきを、血液のろ過と言います。
不要な尿素などだけこし出し、必要な栄養分は血液に戻すはたらきを、再吸収と言います。
4.尿が輸尿管を通る
腎臓によりつくられた尿は輸尿管を通り、ぼうこうへ運ばれます。
5.膀胱(ぼうこう)で尿をためる
尿はぼうこうで一時ためられ、体外に排出されます。
腎臓とは|中2理科 生物
本章では、尿をつくるための器官のうち、腎臓のはたらきをまとめます。
【本章で学べる内容】
- 腎臓とは
- 【腎臓のはたらき1】尿をつくる
- 【腎臓のはたらき2】体内の水分量や塩分濃度を調節する
詳しく解説します。
腎臓とは
腎臓はソラマメのような形をしている臓器です。
ヒトの腎臓は大人になると、片手の握りこぶしほどの大きさになります。
中学校で学習する腎臓(じんぞう)のはたらきは、主に次の2つです。
【腎臓のはたらき】
- 尿をつくる
- 体内の水分量や塩分濃度を調節する
次から解説します。
【腎臓のはたらき1】尿をつくる
腎臓のはたらきは、尿をつくることです。
腎臓には、血液の濾過(ろか)の機能があります。
ろ過とは、血液からさまざまな物質をこし出す(とり出す)はたらきです。
腎臓では、尿素や水分、塩分をとり出します。尿素や水分、塩分をとり出したものが尿(オシッコ)になるのです。
体内にとって必要な栄養分などは、腎臓から血液へもどります。このはたらきを再吸収と言います。
【腎臓のはたらき】
- 血液中の不要物(尿素)をとり出して尿をつくる
- 血液中の必要なものは、血液に返す
【腎臓のはたらき2】体内の水分量や塩分濃度を調節する
腎臓は尿をつくるだけでなく、体内の塩分と水分の量のバランスをとるという重要なはたらきがあります。
生きるために、塩分や水分の量を常に一定に保つのが腎臓の役割なのです。
次のような3つのケースを考えてみましょう。
【塩分調節の3つのケース】
- 水分をとり過ぎた場合
- 塩分をとり過ぎた場合
- 汗をたくさんかいた場合
項目に分けて解説します。
1.水分をとり過ぎた場合
水分をとり過ぎると、体内の水分量が増え、塩分濃度が下がってしまいます。
下がってしまった塩分濃度を保つために、水分の多い尿を排出することで、塩分濃度を上げるのです。
つまり、水分をとり過ぎると「うすいオシッコが出る」と言えます。
2.塩分をとり過ぎた場合
塩分をとり過ぎると、体内の塩分濃度が上がってしまいます。
塩分の多い尿を排出することで、塩分濃度を下げるのです。
つまり、塩分をとり過ぎると「濃いオシッコが出る」と言えます。
3.汗をたくさんかいた場合
体内の水分が減ってしまっているため、塩分濃度が上がってしまいます。
塩分が多く水分が少ない尿を排出することで、塩分濃度を下げるのです。
つまり、汗をたくさんかくと「濃いオシッコが少量出る」と言えます。
【肝臓とは】尿素をつくるだけじゃない|中2理科 生物
肝臓は、人体の中でもとても重要なはたらきを担っています。
「何事も最初が肝心」ということばを聞いたことがあるでしょう。肝心とは「とりわけ大切であること」という意味です。
肝心は、肝臓と心臓を指しています。心臓が大切なのはイメージ的に分かりやすいですが、肝臓も心臓と並ぶ重要な臓器なのです。
本章では、肝臓について詳しく解説します。
肝臓とは
ヒトの肝臓は体の右側にあります。
実は肝臓は、ヒトの体の中で、最も大きい臓器です。
およそ1kgから1.5kgあります。
細かいはたらきも加えると肝臓には500以上のはたらきがあると言われています。
肝臓のはたらきのうち、主なはたらきを4つ解説します。
【肝臓の主なはたらき】
- アンモニアを尿素に変える
- 胆汁をつくる
- 栄養分を貯蔵する
- 有害物質を無害化する
【肝臓のはたらき1】アンモニアを尿素に変える
細胞呼吸により生じたアンモニアは、まず肝臓に運ばれます。
人体にとって有害なアンモニアは、肝臓によって尿素に変えられます。
尿素は次に、腎臓へ送られます。
【肝臓のはたらき2】胆汁をつくる
肝臓は、脂肪の分解を助ける胆汁をつくります。
胆汁は胆のうで蓄えられ、小腸(正しくは、十二指腸)へ送り出されます。
なお、胆汁には消化酵素は含まれていません。
消化のはたらきを復習したい方は、次の記事を参考にしましょう▼
【肝臓のはたらき3】栄養分を貯蔵する
炭水化物が消化されブドウ糖となり、肝臓へ運ばれると、グリコーゲンとして肝臓に蓄えられます。
新たに食物を得ていない夜間に、エネルギー源として血液中に渡しています。
また、肝臓に運ばれてきた栄養分を用いて、体にとって必要なタンパク質や脂肪も合成しています(代謝)。
【肝臓のはたらき4】有害物質を無害化する
お酒に含まれているアルコールや、タバコに含まれているニコチンなどを無害化します。
【まとめノート配布!】肝臓と腎臓のはたらき|中2理科 生物
中学2年生で学習する、生物分野の排出系(腎臓)と肝臓について解説しました。
排出のしくみは、次のようにまとめるといいでしょう▼
排出の学習の要点は、次のとおりです。
【尿がつくられる手順】
- 細胞呼吸によりアンモニアができる
- 肝臓がアンモニアを尿素に変える
- 腎臓が尿素から尿をこし出す
- 尿が輸尿管を通る
- 膀胱(ぼうこう)で尿をためる
テストに出そうな肝臓のはたらきも、確認しましょう▼
【肝臓の主なはたらき】
- アンモニアを尿素に変える
- 胆汁をつくる
- 栄養分を貯蔵する(グリコーゲン)
以上、中学2年生の生物分野『排出系と腎臓・肝臓のはたらき』についての解説でした。
細胞呼吸は、下の記事を参考にしましょう▼
消化と吸収は、こちらから復習できます▼
この記事が、皆さんの理解のお役に立てれば幸いです。