「作用・反作用と力のつり合いのちがいをおしえて!」
「重力と垂直抗力はつり合い?それとも、作用反作用?」

中3理科の作用・反作用とつり合いの見分け方は、多くの人がつまずくポイントです。
特に、力の作図のかき方で悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで、現役教師である私が、作用・反作用と力のつり合いのちがいを徹底的に分かりやすく解説します。

1年で学んだ2力のつり合いの復習から、3年で学ぶ力の応用問題まで、徹底的にくわしく解説します。
作用・反作用と力のつり合いは、見分けるポイントさえつかめばカンタンです。
作用・反作用の法則とは?
作用・反作用の法則は、2つの物体が互いに力をおよぼし合うという関係を示しています。
2物体間ではたらき合う作用と反作用の力は、以下の3つ条件を満たします。
【作用・反作用の法則】
- 向きが反対で、大きさが等しい
- 同一直線上にある
- 異なる2つの物体にはたらく
上記の3のはたらく物体が異なるという点が、作用・反作用の法則を理解するうえで最も重要なカギとなります。
作用・反作用がはたらく2物体間の関係
力は、ある物体からほかの物体に一方的にはたらくのではなく、2つの物体間で対になってはたらきます。
互いにおよぼし合う2つの力を「作用」と「反作用」といいます。
下図のように、ボートに乗っているAさんが、別のボートに乗っているBさんを一方的に押す例で考えましょう。

上図のとき、次のような力の関係が生まれます。
- AさんがBさんを押す力(これが作用)
- 同時に、BさんがAさんを押し返す力(これが反作用)
不思議に感じるかもしれませんが、Bさんが何もしていないように見えても、Aさんが押した瞬間に、Bさんも同じ力でAさんを押し返しているのです。
作用と反作用の力は、同じ大きさで、向きが反対です。
対になっている2力がはたらくことで、AさんとBさんはどちらも後方へ進むのです。
作用・反作用のしくみ
作用・反作用の法則の重要ポイントは、2力がペアになって同時にはたらくということです。
チェックしておきたい作用・反作用のしくみは次のとおりです。

上図のように、スケートボードに乗った人が壁を押す場面を例に考えましょう。
- 人が壁を押す(作用)
- 同時に、壁が人を押し返す(反作用)
壁を押すと同時に反動で動くのは、壁による反作用の力があるからです。
ロケットが燃料を勢いよく噴射して進むのと同じしくみです。
作用・反作用の力を見つけるポイント
作用・反作用の2力は、2つの物体間で互いにおよぼし合う力のペアです。
作用・反作用の力を見つけるには、次のポイントに注目しましょう。
【作用・反作用の見分け方】
- 「主語と目的語」を入れ替えられるか
作用「AがBを押す」⇔反作用「BがAを押す」 - 同じ一直線上にあるか
作用と反作用の力は、一直線上にあり、大きさが等しく、反対向き
下図のように、床の上に置いた箱を例に考えましょう▼

上図のうち、作用・反作用の関係にあるのは「箱が床を押す力」と「床が箱を押し返す力(垂直抗力)」。この2力は、大きさが等しく、向きが反対で、一直線上にあります。
「重力」と「垂直抗力」のペアは、作用・反作用ではありません。
重力は「地球が箱を引く力」、垂直抗力は「床が箱を押し返す力」であり、主語と目的語を入れ替えられないからです。
「地球が箱を引く重力」と「床が箱を押し返す垂直抗力」の2力は「つり合い」の関係です。
つり合う2力とは?
1つの物体に2つの力がはたらいているが、物体が静止している状態を「力がつり合っている」といいます。
前の章で学んだ作用・反作用の法則とよく勘違いされる内容です。「つり合う2力」について詳しく見ていきましょう。
1物体にはたらくつり合う2力の条件
下図は、1つの物体をAさんとBさんが引っ張り合っているようすです。

上図の力を区別して考えてみましょう。
- 力F1;Aさんが物体を引く力
- 力F2;Bさんが物体を引く力
AさんもBさんも、たった1つの「物体を」引く力をはたらかせていますね。このF1とF2がつり合う2力なのです。
つり合う2力を見つけるポイント
力のつり合いは、1つの物体にはたらく力の関係です。
下図のように、床の上に置いた箱を例に考えましょう▼

つり合っている2つの力を見つけるポイントは次のとおりです。
【つり合う2力の見つけ方】
- 全ての力について「何が」「何を」「どうしている」力なのか考える
- 「何を」が一致する2力を探す
・地球が箱を引く
・床が箱を押す - 2力が大きさが等しく、一直線上、反対向きであることを確認する
「地球が箱を引く重力」と「床が箱を押し返す垂直抗力」は、どちらも「箱を」押す力なので、つり合う2力だということが分かります。
作用・反作用の2力とつり合う2力の違い
力のつり合いと作用・反作用の法則は、テストでよく出る引っかけ問題の定番です。
作用・反作用の2力とつり合う2力には、次のように共通点が3つもあり、勘違いしやすいのです。
【作用・反作用とつり合いの共通点】
- 力の大きさが等しい
- 力の向きが反対
- 力が同一直線上ではたらく
本章では、作用・反作用の2力とつり合う2力の決定的なちがいについて解説します。
作用・反作用とつり合い【決定的ちがい】
作用・反作用の2力とつり合う2力のちがいは「力がどの物体に作用しているか?」です。
たとえば、机の上に置かれた箱にはたらく「地球が箱を引く重力」と「机が箱を押し返す垂直抗力」は、どちらも箱という1つの物体にはたらいています。
たとえば、箱が床を押す力の反作用は、床が箱を押す力です。この2力は、床と箱という異なる2つの物体にはたらいているため、つり合いではありません。
作用・反作用=2つの物体がおよぼし合う;
- 地球が本を引く力(重力)の反作用は、本が地球を引く力(万有引力)
- 異なる2物体にはたらいているため、つり合いではない
【見分け方】ステップを解説|床と箱の例
下図のように、床の上に置かれた箱を例に考えましょう▼

2力を見分ける方法を3ステップで解説しますね。
ステップ1:「何が」「何を」という主語・目的語を明確にする
力の矢印を一本ずつ見て、「誰が」「誰を」という関係をはっきりさせましょう。

上図のように、3つの力は次のように表せます。
A:床が箱を押す垂直抗力
B:地球が箱を引く重力
C:箱が床を押す力
ステップ2:「何を」が同じ力を確認する【つり合い】
ステップ1で特定した力のうち、「何を」が同じ力を見つけましょう。これがつり合う2力です。

上図のうち、つり合いの2力は次のとおり。
A:床が「箱を」押す力(垂直抗力)
B:地球が「箱を」引く力(重力)
AもBも「箱を」ですね。力Aと力Bはつり合いの関係です。
ステップ3:「何が」と「何を」を入れ替えた力を確認する【作用・反作用】
ステップ1で特定した力のペアのうち「何が」と「何を」が入れ替わった力を見つけます。これが作用・反作用の力です。

上図のうち、作用・反作用の2力は次のとおり。
A:「床が」『箱を』押す垂直抗力
C:『箱が』「床を」押す力
箱が床を押す力と床が箱を押す力は、つり合う2力とは言えません。
力のつり合いは、1つの物体にはたらいている力どうしの関係です。「何を」が必ず一致します。
- 箱が床を押す力
- 床が箱を押す力
「床が箱を」と「箱が床を」というように、「何を」の部分が異なっていますね。
力がはたらいている物体が違うため、つり合う2力ではないのです。
「地球が箱を引く重力」の反作用は「箱が地球を引く力(万有引力)」です。
作用・反作用の法則は、どのような力にも成り立ち、主語と目的語が入れ替わります。
本は地球を引かないよ?と思うかもしれませんが「万有引力の法則」により、とてつもなく小さな力が実際にはたらいています。
万有引力の法則は、作用・反作用の法則と同じくアイザック・ニュートンが発見した法則です。
【勘違い多発】つり合いじゃない例
下図のように、AさんとBさんがローラースケートをはいて水平な床に立ち、2人が静止し、AさんがBさんを押した場面について考えましょう。

上図の矢印は、AさんがBさんを押す力を表しています。
【問1】
AさんがBさんを押す力(作用)の反作用は、どのような力?
【考え方】
作用・反作用の法則では、主語と目的語が入れ替わります。
【答え】

【問2】
AさんとBさんの動きについて正しく述べているのは?。
ア. AさんもBさんもLの側に動く
イ. AさんはLの側に、BさんはRの側に動く
ウ. AさんはRの側に、BさんはLの側に動く
エ. AさんもBさんもRの側に動く
【考え方】
物体は、力のはたらいている方向に動きます。
【答え】
イ「AさんはLの側に、BさんはRの側に動く」
よくある質問(FAQ)
Q. 壁を押す人について、動く時と動かない時があるのは、作用・反作用の法則が違うから?
どちらのケースでも、壁を押す力(作用)と、壁が人を押し返す力(反作用)は、同じ大きさです。
違いは、壁から返ってくる反作用の力と、床との間にはたらく摩擦力との関係です。

壁を押しても動かない場合(摩擦のある床)
人が壁を押すと、反作用で壁から力が返ってきます。
しかし、摩擦のある床に立っていると、前に進もうとする反作用の力を打ち消すように、床との間に摩擦力がはたらきます。
摩擦力が、反作用の力と同じ大きさでつり合っているため、人は動きません。
壁を押して動く場合(スケートボード)
スケートボードは摩擦がほとんどありません。
壁から返ってくる反作用の力は、人を後ろに押す力としてそのままはたらきます。
反作用の力につり合う力が他にないため、人は反動で後ろへ動くのです。
- 作用・反作用の法則:力を加えると、必ず同じ大きさの力が返ってくる。いつでも変わらない
- 動く・動かない:物体にはたらくすべての力を合わせた結果で決まる。反作用の力と、摩擦力や他の力がつり合えば静止、つり合わなければ動く
Q. 作用・反作用の法則は誰が発見したの?
アイザック・ニュートンが発見しました。
作用・反作用の法則は、イギリスの科学者アイザック・ニュートンが、1687年に発表した『プリンキピア』という本にまとめました。
作用・反作用の法則は、私たちが当たり前に感じる「物を押すと押し返される」という現象を、科学的に説明したものです。
ニュートンは、プリンキピアの中で3つの法則を発表し、それらは「ニュートンの運動の法則」と呼ばれ、今でも物理学の基礎となっています。
ニュートンの運動の法則
- 運動の第1法則:慣性の法則 (力が加わらない限り、物体は今の運動状態を保つ)
- 運動の第2法則:運動の法則 (物体に加えた力と、物体の動きの変化の関係)
- 運動の第3法則:作用・反作用の法則
Q. 日常で作用・反作用があてはまる例は?
作用・反作用の法則は、私たちが地面を蹴って歩いたり、水中を泳いだりする、身近な「動く」現象のすべてを説明できる物理の基本ルールです。
特にテストで取り上げられやすい3つの例を見ていきましょう。
1.空を飛ぶロケットのしくみ
ロケットは、ガスを勢いよく下向きに噴射します。これが「作用」の力です。
同時に、噴射されたガスがロケットを上向きに押し上げる「反作用」の力が発生します。
反作用の力のおかげで、重たいロケットが宇宙へと飛び立つことができるのです。
2.短距離走のスタートダッシュ
陸上競技のスターティングブロックも、作用・反作用の法則を利用しています。
選手がブロックを思いきり後ろ向きに踏みこむ力(作用)に対して、ブロックは選手を前向きに押し返す力(反作用)を返します。
反作用の力が、選手に爆発的なスタートダッシュをもたらしているのです。
3.水面を飛び回るフライボード
水圧で空中に浮き上がるフライボードも、作用・反作用の法則で説明できます。
フライボードが水を勢いよく下向きに噴射する力(作用)に対して、水がフライボードを上向きに押し返す力(反作用)を発生させます。
反作用の力により、フライボードは水面から浮き上がり、空中を自由に動くことができるのです。
3つの例はすべてAがBを〜する作用」と「BがAを〜し返す反作用」という関係になっていますね。
力がはたらく「A(主語)」と「B(目的語)」が入れ替わる作用・反作用の法則は日常のあらゆる場面で見られます。
【まとめ】作用・反作用の法則のポイント
作用・反作用の法則は、私たちが地面を踏みこんで前に進んだり、ロケットが加速したりするしくみを説明できる、物理の基本です。
作用・反作用の法則を正しく理解し2力のつり合いとのちがいを押さえることで、理科の理解度がぐっと高まります。
作用・反作用の法則のポイントを、もう一度確認しましょう。
作用・反作用の法則の3条件
- 異なる2つの物体にはたらく
- 向きが反対で大きさが等しい
- 同一直線上にある

物理は、目で見て、頭で考えることで理解が深まります。
身のまわりで「なぜ?」と思う現象に出会ったとき、作用・反作用の法則で説明できるかもしれませんね。