この記事で分かること
【実験】硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和|中3理科 化学
本章では、硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和反応実験を解説します。
解説する項目は次のとおりです。
硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和反応
- 薬品
- 手順
- 結果
- 考察
- 実験レポート例
- 実験に関する化学反応式
詳しく解説しますね。
1.実験に用いる薬品|酸・アルカリの中和
硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和反応で使用する薬品は主に次の3つです。
- 酸性…硫酸 H₂SO₄
- アルカリ性…水酸化バリウム水溶液 Ba(OH)₂
2.実験の手順|酸・アルカリの中和
硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和反応の手順は主に次のとおりです。
- 試験管にうすい硫酸を入れる
- 試験管にこまごめピペットでうすい水酸化バリウム水溶液を数滴加える
3.実験の結果|酸・アルカリの中和
硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和反応の結果は次のとおりです。
硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和反応の結果
- 白い沈殿ができた
- 容器があたたかくなった
4.実験の考察|酸・アルカリの中和
硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和反応の考察は次のとおりです。
硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和反応の考察
- 白い沈殿は硫酸バリウムである
- 硫酸バリウムが白い沈殿として生じるのは、硫酸バリウムは電離しにくく、水にとけにくいからである
- 塩化ナトリウム(NaCl)は水にとけやすい塩(えん)だが、硫酸バリウム(BaSO₄)は水にとけにくい塩(えん)であり、塩(えん)にも違いがあることがわかる。
- 水酸化バリウム水溶液に硫酸を加えて中性にした場合、ほとんど電流が流れなくなる。これは、水溶液中に存在していたバリウムイオン(Ba²⁺)と硫酸イオン(SO₄²⁻)が反応して水にとけにくい硫酸バリウムの沈殿となり、水溶液中にイオンがほとんどなくなるためである
5.実験の振り返りレポート例|酸・アルカリの中和
実験後に行うレポートの振り返りとして、次の例をもとに自分なりの振り返りを行うといいでしょう。
- 酸性とアルカリ性のイオンどうしがくっついて水や塩ができるという点は、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応と同じだと気づいた
- 塩化ナトリウムは溶けて見えなかったけれど、硫酸バリウムは白い沈殿としてはっきり見えたのが興味深かった
- 今回はフェノールフタレイン溶液もBTB溶液も使わずに、沈殿のでき方だけで中和を判断した。色の変化以外にも実験方法があると学んだ
- 塩化ナトリウムと硫酸バリウムのように、塩にも水に溶けやすいものと溶けにくいものがあるとわかったので、他の塩の溶けやすさも調べてみたい
6.硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和反応の化学反応式
硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和反応にかかわる化学反応式は次の3種類あります。
- 中和反応の全体的な化学反応式
- 電離の式
- 水や塩ができる反応
上記3つのちがいと化学反応式のつくり方を理解しておきましょう。
1.中和反応の全体的な化学反応式
硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和反応
- 硫酸+水酸化バリウム水溶液→硫酸バリウム+水
H₂SO₄ + Ba(OH)₂ → BaSO₄ + 2H₂O - 反応における塩(えん)が硫酸バリウム BaSO₄ である
2.電離の式
硫酸は水溶液中で電離して水素イオン H⁺ と、硫酸イオン SO₄²⁻ に、水酸化バリウムは水溶液中で電離してバリウムイオン Ba²⁺ と、水酸化物イオン OH⁻ を生じています。
電離の式は次のとおりです。
- 硫酸
硫酸→水素イオン+硫酸イオン
H₂SO₄ → 2H⁺ + SO₄²⁻ - 水酸化バリウム
水酸化バリウム→バリウムイオン+水酸化物イオン
Ba(OH)₂ → Ba²⁺ + 2OH⁻
3.水や塩ができる反応
- 水ができる反応
水素イオン+水酸化物イオン→水
H⁺ + OH⁻ → H₂O
塩ができる反応(沈殿)
バリウムイオン+硫酸イオン→硫酸バリウム
Ba²⁺ + SO₄²⁻ → BaSO₄