中学理科 PR

【振り返りの例を公開】塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応を完全解説!

記事内に広告を含む場合があります

【実験】塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和|中3理科 化学

本章では、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応実験を解説します。
解説する項目は次のとおりです。

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応

  1. 薬品
  2. 手順
  3. 結果
  4. 考察
  5. 実験レポート例
  6. 実験に関する化学反応式

詳しく解説します。

1.実験に用いる薬品|酸・アルカリの中和

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応で使用する薬品は主に次の3つです。

  • 酸性…塩酸 HCl  
  • アルカリ性…水酸化ナトリウム水溶液 NaOH
  • 試薬…フェノールフタレイン溶液

2.実験の手順|酸・アルカリの中和

実験の手順

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応の手順は主に次のとおりです。

  1. メスシリンダーで水酸化ナトリウム水溶液をはかりとり、ビーカーに入れる。
  2. ビーカーの水酸化ナトリウム水溶液に、フェノールフタレイン溶液を2、3滴加える。
  3. この水溶液に、塩酸を液の赤色が消えるまで、少しずつ注意深く加える。
  4. 赤色が消えたら、水溶液の一部をスライドガラスにとる。
  5. スライドガラスにとった水溶液の水を蒸発させ、とけている物質が出始めたら顕微鏡で観察する

実験の注意点

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応には、次のような注意点があります。

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応の注意点

  • こまごめピペットの先を上に向けてはいけない

理由は「液体が流れ込み、ゴム球を傷めないようにするため」です。

3.実験の結果|酸・アルカリの中和

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応の結果は次のとおりです。

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応の結果

  • 水酸化ナトリウム水溶液にフェノールフタレイン溶液を加えた水溶液は赤色であった。
  • その水溶液に塩酸を加えていくと、水溶液の赤色が無色に変化した。
  • 赤色が消えた水溶液の水を蒸発させると、白色の結晶が現れた。
  • 顕微鏡で観察した白色の結晶は、立方体であった
  • 容器があたたかくなった。

4.実験の考察|酸・アルカリの中和

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応の考察は次のとおりです。

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応の考察

  • 水酸化ナトリウム水溶液赤色が消えたことから、アルカリ性の性質が打ち消されたと考えられる。これは、水溶液中の水酸化物イオン OH⁻ と加えられた水素イオン H+ が結びついて水 H₂O ができたためであると考えられる。
  • 水を蒸発させて現れた白色の立方体の結晶は、塩化ナトリウムであると考えられる。これは、水溶液中に存在しているナトリウムイオン Na+ と塩化物イオン Cl⁻ が結びついてできた物質であると考えられる
  • 蒸発させるまで、塩化ナトリウムが見えなかったのは、塩化ナトリウムは水にとけやすいからである。
    ※発生した塩化ナトリウムは電離して水にイオンとして存在しているため、この水溶液には電流が流れる
  • 容器があたたかくなったことから、中和反応は発熱反応だと分かる

5.実験の振り返りレポート例|酸・アルカリの中和

実験後に行うレポートの振り返りとして、次の例をもとに自分なりの振り返りを行うといいでしょう。

  • 酸性の水溶液にアルカリ性の水溶液を混ぜると、酸性の性質が打ち消されて、マグネシウムを入れても気泡があまり出なくなると思う
  • BTB溶液を使って、塩酸に水酸化ナトリウムを少しずつ加えると、黄色がだんだん緑色に変わるはずだからから、実験してみたい
  • 発生した結晶が食塩だとわかったので、酸とアルカリから別の物質ができる面白さを感じた
  • 容器があたたかくなったのは発熱反応だからだとわかったが、どれくらい熱が出るか測ってみたい
  • フェノールフタレイン溶液で赤色から無色に変わるのは、OH⁻がなくなるからだと実感できた

6.塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応の化学反応式

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応にかかわる化学反応式は次の3種類あります。

  1. 中和反応の全体的な化学反応式
  2. 電離の式
  3. 水や塩ができる反応

上記3つのちがいと化学反応式のつくり方を理解しておきましょう。

1.中和反応の全体的な化学反応式

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応

  •  塩酸+水酸化ナトリウム水溶液→塩化ナトリウム+水
    HCl + NaOH → NaCl + H₂O
  • 反応における塩(えん)が塩化ナトリウム NaClである

2.電離の式

  • 塩酸
    塩化水素→水素イオン+塩化物イオン
    HCl → H⁺ + Cl⁻
  • 水酸化ナトリウム水溶液
    水酸化ナトリウム→ナトリウムイオン+水酸化物イオン
    NaOH → Na⁺ + OH⁻

3.水や塩ができる反応

  • 水ができる反応
    水素イオン+水酸化物イオン→水
    H⁺ + OH⁻ → H₂O
  • 塩ができる反応
    ナトリウムイオン+塩化物イオン→塩化ナトリウム
    Na⁺ +  Cl⁻  → NaCl
    ※塩化ナトリウムは水にとけやすいため、発生してもすぐに電離してしまう
    塩化ナトリウム→ナトリウムイオン+塩化物イオン
    NaCl→Na⁺+Cl⁻
こちらの記事もおすすめ