- 理科のレポートが宿題で出されたけど、何を書けばいいの?
- 考察って何か分かんない!
理科の実験は楽しいけど、レポートを書くのがイヤだという方は非常に多いですよね。
そこでこの記事では、高評価を取れる実験・観察レポートの書き方を、ていねいに解説します。
私が16年かけて培ってきた塾講師・教員経験を凝縮しました。理科のレポート点を上げたい方は、ぜひ参考にしてください。
実験・観察レポートとは【中学理科】
実験・観察レポートは、理科の授業で実験や観察をまとめ、学びを深めるために行います。
理科の成績において、実験・観察レポートはとても大きな配分を占めるのです。
そこで本章では、実験・観察レポートについて、次の3点を解説します。
- 実験・観察レポートの流れ
- 実験・観察レポートの注意点
- 実験・観察レポートの評価
実験・観察レポートについて正しく理解しておけば、実験や観察がもっと楽しくなるし、成績も上がりやすくなるでしょう。
レポートを評価する側の現役教員ならではの視点で、詳しく解説します。
実験・観察レポートの流れ
レポート提出の点数を、定期テストと同等以上の点数に設定している学校があります。
レポート提出をよく考えずにやっていると、成績で損をすることになるでしょう。
実験・観察レポートは、次のような流れです。レポートの全体像を把握し、抜け落ちなくレポートを完成させることが重要です。
具体的な書き方の注意点は、次章(理科レポートの書き方)を参考にしてください。
実験・観察レポートは「思考・判断・表現」観点で大きな点数を占めます。流れにそったレポート作成を心がけましょう。
実験・観察レポートの注意点
理科の実験・観察レポートを提出するときの注意点は、次のとおりです。
レポート提出の注意点
- 先生が指示した項目を必ず書く
- 空欄をつくらないで、適切な量を書く
- 期限を守る
上記の注意点を理解すると、レポートの高評価を得やすくなります。
1.先生が指示した項目を必ず書く
授業中に、先生が言っていたことをメモしてください。なお、先生が「書きなさい」と言ったことは、必ず書きましょう。
「言ったことを守らない生徒はダメだ」という、古い考え方の教員は多いです。
2.空欄をつくらず、適切な量書く
考察や感想は、適切な文字サイズで書き、与えられた枠の8割を目安に埋めましょう。
空欄をつくるとレポートで高評価はとれないです。
特に、考察を一言だけしか書いていないレポートでは高評価は難しいでしょう。
何を書くべきか分からないなら、友だちに相談したり、塾講師や家庭教師に相談したりしましょう。
教科書や資料集にも、レポートを書くためのヒントがたくさんあるため、参考にしてください。
字が多すぎて読みにくいレポートはやりすぎですが、なるべく多めの文字数でレポートを仕上げる姿勢は大切です。
3.期限までに提出する
学校の先生は、提出期限に非常に厳しいです。
忘れた言い訳をしたところで、顔はニコニコしていても、帳簿にはきっちり減点を入れられます。
提出期限は必ず守りましょう。
実験・観察レポートの評価
教員による個人差はあるものの、次のように実験・観察レポートに評価をつける教員が多いです。
- 必要事項を全て埋めていれば「B」評価
- 考察や振り返りなどで、良い表現があれば加点して「A」、優秀なら「A+」
- 空欄があると減点して「C」
- 遅刻は減点方式※1日レポート提出が遅れると1点減点、2日なら2点……
なお、理科のレポートの満点を10点とすると、次のような点数のつけ方が一般的です。
評価の記号と点数の関係性
- よくできた A ; 9点
- できた B ; 6点
- がんばろう C ; 3点
- 提出なし 0点
さらに細かく採点し、以下のような評価をつける教員もいます。
- A+(10点)、A-(8点)
- B+(7点) 、 B-(5点)
- C+(4点) 、 C-(1点~2点)
理科のレポートで高評価を得るためには、期日どおりに提出し、加点となるような表現を書くことが重要です。
レポートの点数を上げるコツについては、第3章(レポートの点数を上げるコツ4選)で解説します。
理科レポートの書き方【中学理科】
理科の実験・観察レポートの必須項目は、上記のように10個です。
本章では、レポートで高評価をとるために、各項目で気をつけるべきことを解説します。
1.タイトル(テーマ)
実験・観察にはタイトルやテーマが与えられているため、必ず書きましょう。
教科書のページ数や、実験ナンバーなども書いておくといいでしょう。
例えば、次のように実験タイトルを書きます。
- 実験3(教p.223)凸レンズによってできる像
- 観察1(教p.7)身のまわりの生物の観察
レポートに書くときは、目立つように大きめに書くことがおすすめです。
2.日時・天気などの情報・実験者の名前
実験者の名前などを、必ず書きましょう。
グループで取り組んだ場合、メンバーの名前も書くように指示されることがあるため、先生の指示を聞いてください。
日時は「○月△日 午前□時」と書きます。
天気については「晴れ」「くもり」「雨」のいずれかを書くといいでしょう。
気温や湿度なども、分かっていれば記入してください。
細かいところを気にする先生もいます。
「天気くらい書かなくてもいいや」と考えていたら、評価は低くなってしまうため気をつけましょう。
3.目的(解決したい課題や疑問、動機)
実験・観察をする目的は、教科書どおり書き写すといいでしょう。
理科の実験・観察における「目的」は、「~を調べる」や「~を見つける」のような書き方をします。
実験によって、解決したい課題や疑問、動機を書く場合があります。
課題は「~だろうか」のように書きましょう。
目的や課題の書き方の例は、次のとおりです。
目的や課題の書き方の例
目的;
- 凸レンズによって、どの位置に、どのような大きさや向きの像ができるのかを調べる
- 物体にはたらく2力がつり合う条件を見つける
課題(疑問);
- ばねに力を加えてのばすとき、力の大きさとばねののびには、どのような関係があるのだろうか
- 身のまわりの花のつくりには、どのような共通点やちがいがあるのだろうか
先生の指示どおり書くケースもあるため、指示をしっかり聞きましょう。
4.予想(仮説)
実験する前に、実験結果がどうなりそうかを書くのが予想です。理科では、実験を予想することを「仮説を立てる」とも言います。
先生にウケのいい「予想を書くポイント」は次のとおりです。
- 理由とともに、予想を書くこと
- 理由には、日常での実体験をもとに書くこと
- 「教科書にのっているから」や「塾で習ったから」などNGワードを書かないこと
日常生活で感じたことを理由にあげながら、仮説を立てているレポートには、良い評価がつけられることが多いです。
なお、予想を書く文の量が少なすぎると低評価になるため、気をつけましょう。
5.準備(用意するもの)
実際に実験で使用する器具などを、教科書どおり書き写します。
なお、教科書に書かれている実験器具と、実際の理科室で使用する器具はちがう場合があります。先生の指示をよく聞いて書きましょう。
ちょっとした努力や頑張りを見ると、教員はレポートの点数を下げにくいものです。ぜひ試してみてください。
6.方法(手順・計画・進め方)
実験・観察の方法を教科書どおり書き写すといいでしょう。
実験によって「実験手順を自分たちで考えるように」と先生から言われたら、指示にしたがってください。
自分で実験手順を考えても分からなければ、教科書や資料集を参考にしましょう。
実験方法を書くときのおすすめは「実験の注意点」を忘れずに書き写すこと。
「実験の注意点」は、テストに出題されやすいというメリットもあります。
なお、教科書に書かれている実験方法と、実際に行う実験方法が異なる場合があります。先生の指示をしっかりと聞いておくといいでしょう。
図(イラスト)を書くなど、見やすくすることで高評価をもらいやすいです。レポートを見やすくする工夫を心がけましょう。
7.結果
実験をしているときに目で見えた結果や、耳で聞こえた結果を、細かくメモしましょう。
「結果」と「考察」のちがいは、次のとおりです。
「結果」と「考察」のちがい
- 見える情報は結果;「~だった」
- 見えない情報は考察;「~ではないか」
なお、考察には次のように書くことになります
「(~だった:結果)から、(~ではないか:考察)と考えられる。」
実験中は、ささいな変化を見逃さずに、五感で感じ取ったことを細かくメモしておきましょう。ただし、感想や思ったことは書いてはいけません。
実験後は、表やグラフなどにまとめると見やすくなります。詳しくは次章(グラフを入れる)で解説しています。
「実験結果がていねいにまとめられているか」を教員は評価します。実験中に見えた細かい情報をメモしておき、分かりやすくまとめましょう。
8.考察
実験・観察の考察には、結果から推測できる考えを書きましょう。
個人的な感想を書かずに、実験結果をもとにした、科学的な理由とともに考えを書くのが考察です。
石灰水を赤色リトマス試験紙にたらす実験を例に、考察の書き方を考えてみましょう。
「石灰水をリトマス試験紙にたらすと、赤色から青色に変化した」という目に見える情報は、結果です。
「リトマス試験紙を青色に変化させる液体の性質は、アルカリ性である」という科学的な事実につなげるのが、考察の役割です。
考察欄には次のように書きましょう。
「液体をリトマス紙にたらすと、赤色から青色に変化したことから、石灰水の性質はアルカリ性であると考えられる」
考察を書くポイントは、教科書にのっていそうなことを書くこと。教科書に書かれていなさそうなことは、個人的な感想です。
実験の多くは、考察のヒントが教科書に書かれています。考察に書く内容に困ったら教科書をよく読むようにしましょう。
9.振り返り(感想)
感想には、行った実験で分かったことや、気付いたことなどを振り返ることが重要です。
感想だからと言って「楽しかった」「面白かった」だけ書くことはNGです。低評価につながるでしょう。
高評価を取りやすい感想を書くコツがあります。
高評価をとりやすい感想のコツ
- 「楽しかった」ではなく「興味深かった」と言い換える
- 「面白かった」ではなく「実験の結果に驚いて印象的だった」と言い換える
- 日常生活の実体験を入れて、教科書にのっていないことを書く
感想は。多めに書くようにしてください。
文を書く思考力も身につくため、感想をたくさん書くことをおすすめします。
10.参考文献(参考にした本やサイトなど)
調べ学習のレポート提出のときに、参考にした本やサイトなどをレポートの最後に加えましょう。
本の場合は、著者名と書名を書きましょう。教員によって、出版社、出版年を書くように指示される場合があります。
ネットの場合は、著者名・ページ名・URLを書きましょう。教員によって、サイト名、更新日を書くように指示される場合があります。
教科書に載っているような実験・観察には、参考文献を書く必要はありません。
レポートの点数を上げるコツ4選【中学理科】
理科の実験・観察レポートの点数を上げるために、次のようなコツ4選を活用するといいでしょう。
レポートの点数を上げるコツ4選
- ていねいに書き早く提出する
- スケッチや図をかく
- グラフを入れる
- 表をつくる
高評価を得ている生徒のレポートには、上記の工夫がされています。
結果や考察をたくさん書いているのに、レポートの評価が全然高くならないと悩んでいる方は、ぜひ試してほしいです。
1.ていねいに書き早く提出する
レポートの提出期限は必ず守ることが大切です。
教員によって、早く出したレポートで優秀な場合は、ボーナス加点している場合があります。
「早く提出しているうえに、とても優秀だからA+にしよう」と考える教員がいるのです。
逆に提出が1日でも遅れると、減点する教員は多いです。朝提出なのに、少し遅れて放課後に提出しただけでも減点になるため、気をつけましょう。
提出物を早く出すクセをつけることは人生にとっても大切なので、レポートの早めの提出を心がけましょう。
2.スケッチや図をかく
レポートにスケッチや図をかくと、見やすくなります。
理科のスケッチには、コツがります。下記の記事を参考にしてください。
レポートに入れるべきスケッチや図は、次のとおりです。
レポートにかくべき図
- 実験装置の図
- 実験の手順のかんたんなイラスト
- 実験結果などのスケッチ
教科書の実験ページに書かれている図を参考に、実験にとって重要な図をレポートにかき写すといいでしょう。レポートが見やすくなり、高評価を得やすいです。
図をかくことで、実験の細かいことに気付けるため、勉強にもなります。ぜひレポートに図をかきましょう。
3.グラフを入れる
グラフをかくことは、理科において最も重要なポイントです。積極的に「結果」の欄にグラフを書くようにしましょう。
理科のグラフのかき方は、数学と異なります。教科書や資料集をよく読んで、グラフを作成しましょう。
基本的なグラフをかく手順は次のとおりです。
- 横軸と縦軸を引く
- 横軸には実験で変化させた量、縦軸にはその結果変化した量をとる
- 両軸に名前と、量の単位[記号]を書く
- 実験の最大値がグラフに入るように、目盛りを決める。目盛りの値は等間隔にする
- 測定値を点(・)で少し大きめにかく
- 直線か曲線を考えて線を引く
実験結果はグラフにすると、変化のようすが分かりやすくなります。
グラフのかき方を間違えると減点されるため、次の点に注意するといいでしょう。
- グラフの左下に0(ゼロ)を2つ書く
- グラフは端から端まで線を引く
- グラフは折れ線で引いてはいけない
- 直線なら定規をつかい、点が同程度散らばるように直線を引く。原点を通るグラフが多いため注意する
- 曲線なら、なるべく多くの点を通るように、なめらかに線を引く
グラフの作図問題はテストにもよく出題されます。手順や注意点を正しく理解するようにしましょう。
4.表をつくる
得られた実験結果データを表にまとめることで、考察しやすくなります。
表があるとグラフを作成しやすくなるため、実験によって数値が出てくる場合は、必ず表をつくるようにしましょう。
理科における基本的な表の作り方は次のとおりです。
- 表の上にタイトルをつける
- 変化させるものの名前と単位[記号]を1行目の左端に書く
- 変化させる量を左から右に数を増やして書いていく
- 実験によって変化する量の名前と単位を書く
- 実験結果を記入する
表をきちんと書けている実験結果は見やすいため、レポートでも高評価をもらいやすいです。
表の作成をすることで、グラフ作成にも考察にも役立ちます。積極的に表をつくるようにしましょう。
【まとめ】やり方しだいでレポートの高評価は取れる!
なお、上記のレポートの項目には、実験によって書かなくてよい項目があります。学校の先生の指示をよく聞き、レポートを工夫しましょう。
レポートを工夫するときに、下記のコツをおさえると高評価を得やすいです。
定期テストとちがって、レポートは少しの工夫で高評価をとりやすいです。レポートの点数が高いと、勉強を頑張る気持ちがさらに湧いてきます。
なお、まじめに勉強しているのに、レポートでもテストでも結果が出ない方がいます。ほんの少しやり方や考え方を変えるだけで、ぐんと伸びる可能性があります。