- 理科のノート点を「A」にしたい!
- 効率のいいノートの書き方が分からない……
- まとめノートの宿題どうしたらいいの?
数学のような計算やグラフが出てきたり、社会のような知識の暗記系があったりするため、「理科は難しい」と感じてしまう生徒がとても多いです。
私は大手進学塾講師歴3年、教員歴13年以上をかけて小中高生の理科の指導に現場で携わってきました。また、入試対策問題集の出版社との契約歴もあり、理科教材を100冊以上、比較研究してきました。
そこでこの記事では、理科の現役教員による「理科が10倍理解できるノートの取り方と成績の上がる勉強法」を、徹底的にやさしく解説します。
私が16年かけて培ってきた塾講師・教員経験を凝縮しました。理科の成績を上げたい方は、ぜひ最後までお読みください。
効果的な理科の勉強法とは|予習・授業・復習
理科を効果的に学習するには、予習・授業・復習の流れで学習することが大切です。
本章では、毎日の部活動や習い事などで忙しい中学生の皆さんが、現実的に続けられる予習・授業・復習の必勝法を解説します。
1.予習する
よい成績をとっている生徒は、みんな予習をしています。
ディズニーランドやUSJに行くとき、どのようなアトラクションがあるか事前にチェックしますよね。あらかじめ知っておくことで、スムーズに行動できます。
勉強も事前にチェックしておくと、授業中の学習の質が高まるのです。
予習の重要性は理解していても、一人で予習を続けるのは厳しいです。
予習の役割を果たしているのが塾です。塾は学校よりも速いペースで授業が進みます。
塾で一度学習しているメリットは次のとおりです。
- 塾の宿題で予習→塾で授業→学校の授業が復習代わり、のサイクルができる
- 学校の授業で先生に当てられても、焦らなくなる
- お金を出して塾に行くため、勉強に対する責任感が生まれる
やる気がないときや疲れているときは、自主的な予習を誰もやりません。
塾に行けばやる気がなくても強制的に勉強することになるため、勉強時間が増えて学力がアップするのです。
2.授業は「すぐ忘れる」ことを前提に受ける
授業の最大の目的は「分からないことに気づく」ことです。
学習内容が難しいとき「今日の授業は意味が分からないからイヤ!」と思うのではなく、むしろ喜びましょう。
知らないことや、分からないことを理解するのが本当の意味での「勉強」です。
授業中、効果の高い勉強をするための注意点は次のとおりです。
- 重要なことはオレンジペンで書く
※赤シートで隠せるようにする - 「理解」しながら写す
※言われたことを写すロボットにならない - 理解できない内容には「?」をつける
- 先生が話した「こぼれ話」もメモする
なお、授業中は「授業で習ったことはすぐ忘れる」ということを前提に授業を受けましょう。
復習の質が上がり、テストの点数アップにつながります。
3.復習する|学校のワークを3周する
中学校の理科における最も効果的な復習は、学校の問題集(ワーク)を3周解くことです。
中学校の小テストや定期テストの問題の多くは、学校指定の問題集から出題されます。
東大生へのアンケート調査では、多くの東大生が「復習を3回する」と答えていました。
3回の復習は「エビングハウスの忘却曲線」から導き出された、脳が記憶するために必要な復習回数と一致します。
東大生は頭がいいのではなく「自分の脳が1回では覚えられない」ことに気付き、正しく行動できた人なのでしょう。
なお、効果的に3周解く勉強法があります。次のようにワークを解きましょう。
- 1周目は、教科書を見ずに自力で解いて、自分の実力を確かめる
- 2周目は「楽勝にできた問題」「全く意味不明の問題」は飛ばして、自分にとって学習するべき「あやふやな問題」だけ解く
- 3周目は全ての問題を解き、それでも分からない問題は先生に聞く
中学校の理科の成績を上げる効果的な学習法を、下の記事にまとめました。こちらもぜひご覧ください。
4.テスト勉強をする
定期テストの勉強は、テストの1カ月前から始めるのがベストです。
多くの方が勘違いしていますが、テスト勉強は1週間前からの学習では間に合いません。
テスト1週間前になっても、テスト範囲が終わっていない教科がたくさんあり、テスト直前に習ったことがテストにも出るからです。
2週間前までに、テスト勉強のための準備を完了しておくとよいでしょう。
テスト勉強のための準備とは、具体的に次のことをいいます。
- 学校指定のワークを1周分終わらせている
- テスト対策ノートをつくり終えている
- 提出物をほとんど終わらせている
なお、テスト1週間前にならないとテスト範囲表は出ません。教科担当の先生に「だいたいどの程度がテスト範囲になりそうですか?提出物は?」とリサーチをしておくこともおすすめです。
テストで自分が納得する点数を取るために、できることはやりましょう。
自分のできる限りを尽くすといいでしょう。
【中学理科】授業ノートのとり方のコツ10選
学校の授業の学習効果を高めるノートのとり方があります。
中学校における理科の授業時間は、1年生で年間105限、2年生~3年生で年間140限もあります。
効果的な学習にするためのノート術10選は次のとおりです。
- 「いいノート」を知る
- A4ノート方眼タイプをつかう
- ペンは3色以内にする
- 余白を大きくとる
- 図や表は大きく書く
- 授業では日付を書く
- 先生の発言をメモする
- 先生の説明が分からなければ?をメモする
- 章が変われば次のページに書く
- 先生からの指示は厳守する
学校の授業がノートではなく、プリントや別の方法だという方にとっても、上記は必要な考え方です。
1.「いいノート」を知る
「いいノート」とは、学力が上がるノートです。「キレイなノート」ではありません。
なお、ノート提出の点数を上げるためだけに、時間をかけるのもおすすめしません。提出点よりも、定期テストの方が成績にとって大きな配分を占めるからです。
いくらノートをキレイに書いて先生にほめられても、高校入試には関係ありません。
ノートは「自分が見直すために書く」ことが大切です。
赤シートで隠せるように、重要なところをオレンジペンで書いたり、分かりにくい説明には「?」とメモしたりすると、後から見直して役に立つでしょう。
先生や提出点のために書くのではなく、自分の学力を上げるためにノートを書くことが重要です。
2.A4ノート方眼タイプをつかう
特に学校の指定サイズがなければ、理科にはA4方眼ノートを使いましょう。
図や表、グラフをつくったりすることが多い理科では、マス目のあるノートが書きやすいです。また、1ページにたっぷりメモできるため、B5より大きいA4サイズがおすすめです。
A4の方眼罫ノートは、100円均一でも買えます。
なお、楽天やAmazon、ダイソーオンラインで買うと配送料がかかることがあるため、店舗で探すといいでしょう。下記のリンクは参考です。
3.ペンは3色以内にする
ノートに字を書くときは鉛筆(シャーペン)とオレンジペンだけにしましょう。
かざりつけとしてオレンジマーカーもあると、見やすくなります。
ノートにさまざまな色があると、何が大切なのか分からなくなり、学習効果が下がってしまいます。
なお、どうしても色が必要な時には色鉛筆を使います。
例えば、次のような内容には、色鉛筆を使うと効果的です。
- リトマス紙の赤色と青色
- BTB溶液の黄色・緑色・青色
- フェノールフタレイン溶液の赤色
色により記憶力が高まる場面もあるため、ポイントをしぼって色鉛筆をつかうといいでしょう。
効果的なノートの取り方をまとめると、次のとおりです。
- 覚えるべき重要用語はオレンジペンで書く
- 区切り線はオレンジマーカーでかざりつける
- 必要なときのみ色鉛筆で色をぬる
上記のポイントをおさえて、効果的なノートを目指しましょう。
4.余白を大きくとる
授業ノートは、あとからメモを書き足せるように余白を大きくあけて書きましょう。
「もったいないから、何か学びのあることを埋めよう」という心理がはたらき、復習する習慣が身につきます。
「一回の授業で見開き1ページをつかう」という意識で、ノートを書いていた東大生もいました。
大きな余白は、必ず学びにつながります。意識してノートを書いてみましょう。
5.図や表は大きく書く
ノートに大きく手書きイラストをかきましょう。
『何歳からでも結果が出る 本当の勉強法 (著)望月 俊孝』では、文字だけで記憶するより、手書きでイラストをかくと5.7倍効果的だ、と結論づけています。
理科の授業では、図や写真、グラフなどがたくさん出てきます。教員から図のプリントをもらっても、あえて自分でかく方が学習効果は高いです。
図をかくと、文字だけよりもイメージを脳に焼き付けやすくなるのです。
ただし、授業中に図をかいていると教員の説明を聞き逃すため、授業のあとに図やグラフを自分で手書きするといいでしょう。
ノートをキレイにしようとして、こったイラストに時間をかけると効率が悪くなるため気をつけましょう。
6.授業では日付を書く
ノートには、学習した日付などをメモしておきましょう。
ノートの右側に区切り線を書き、次のような授業のメモを書くことをおすすめします。
- 授業日
- 教科書のページ
- 授業中にあったことや考えたこと
ヒトの記憶はとてもあいまいで、覚えたことをすぐに忘れてしまうようにできています。
ちょっとしたメモを書くだけで脳に学習内容を忘れさせない工夫ができます。ぜひ試してみましょう。
7.先生の発言をメモする
先生の発言をメモすると、記憶が定着しやすくなります。
文字だけでの記憶には限界があります。そのため、黒板の字をただ写すだけでは、すぐに忘れてしまうのです。
先生の発言を逃さずメモしようとする姿勢が重要です。積極的な学習は学力向上につながります。
先生の発言をメモするメリットは非常に多いため、皆さんも授業ではメモ魔になってみましょう。
8.先生の説明が分からなければ?をメモする
授業中、先生の説明で分からないことがあった場合、ノートに「?」印を書くといいでしょう。
授業中に分からないことがあっても、悩んでいる間に授業は進みます。悩んでいいる間に先生の話を聞いていないと、雪だるま式に「分からない」連鎖が出来上がります。
授業中、30秒悩んでも分からないことがあれば「?」印をノートに書き、後から先生に質問に行きましょう。
テスト前にあわてても遅いため、普段から何が「分からない」のかを、自分でメモするクセをつけましょう。
「何が分からないのかも分からない」という生徒は多いです。このような状態になってからでは、おくれを取り返すのに時間がかかってしまいます。
分からない学習内容には、こまめに「?」をつけておき、先生に相談にいきましょう。
9.章が変われば次のページに書く
授業内容が大きく変わるとき、新しいページからノートを書き始めるといいでしょう。
あとから見直したときに、まとまりがある方が分かりやすく、とまどいが少なくなるでしょう。
ノートを開いて、目に入ってくる情報のジャンルが違いすぎると、見にくく分かりづらいノートになってしまいます。
10.先生からの指示は厳守する
ノートやファイルを提出物としている中学校は多いです。提出物に関する指示は必ず守りましょう。
指示を守らないノートの点数を下げる教員は多いです。
例えば、次のようなことに厳しい教員がいます。
- 授業を休んだ日のノートやプリントは、友だちに見せてもらって書いておく
- 提出期限を守る
- 日付や教科書のページ数などを書く
こだわる内容は教員によって違いますが、最低限の「先生ルール」を守ったうえで、より効果的なノートを目指して学習すると学力が高まるでしょう。
【成績がいい子のノート術】おすすめ4選
成績がいい生徒は、ノートの活用方法が素晴らしいです。
次のようなノートを自らつくっている生徒は、成績が高い傾向にあります。
- 問題集ノート
- 暗記ノート
- 後回しノート
- まとめノート
1.問題集ノート
学力が高い生徒は、学校指定の問題集に直接書き込まず、問題集ノートをつくります。
ヒトの脳は、興味のないことは1回で覚えられないようにできています。タイミングよく復習することで、はじめて長期記憶にのこります。
脳神経科学による理想的な復習のタイミングは、次のとおりです。
- 復習1回目は授業の翌日
- 復習2回目は授業の1週間後
- 復習3回目は授業の2週間後
問題集ノートをつくって、少なくとも3周は問題を解くことをおすすめします。
2.暗記ノート
暗記ノートは、一問一答形式でノートにまとめた用語集です。
理科は、大切なことをまとまりとして理解する必要があるため、単語カードはあまりおすすめできません。
理科のテストでは、用語そのものを問われる問題が多く出題されます。
計算問題や応用問題よりも先に、基礎的な用語の学習をして、テストで答えやすい問題をとりこぼさないようにするといいでしょう。
「まとめノート」のようにきれいにまとめる必要はないため、短時間で効果が高いのが「暗記ノート」のメリットです。
暗記ノートのつくり方は、次のとおりです。
- ノートを新しく用意して、ページの半分を線で区切る
- 引いた中央線の左側に覚えたいこと、右側にその答えを書く
- 下敷きなどでかくして学習する
一問一答の暗記ノートの例は、下のノート画像のとおりです。
暗記ノートはテスト直前の復習にも効果的です。ぜひ、試してみてください。
3.後回しノート
「全く意味が分からない」という問題があったとき、後回しノートにその問題のコピーを貼り付けておきましょう。
タブレット端末をもっていれば、分からない問題の写真を撮って、まとめておいてもいいでしょう。
理解が難しい問題に一人で頭を悩ませても、時間が過ぎていくだけです。分からない問題はあとで先生に聞く方が早いでしょう。
一人で勉強しているときは「頑張れば理解できる」問題をまず完ぺきにするように勉強しましょう。
後回しノートを活用すると、分からない問題に悩む時間がなくなるため、効率よく学習できます。
ぜひ、後回しノートを活用して、効果的な学習を目指しましょう。
4.まとめノート
まとめノートをつくると「学習内容を振り返り、自分なりにまとめて思考を整理する」というメリットがあります。
なお、まとめノートには「キレイにまとめることにこだわり過ぎて問題演習に十分な時間が回せない」というデメリットがあります。
まじめな子ほど、キレイなまとめノートをつくり、時間がなくなってしまい、定期テストの点数が低くなります。
家に帰ってから、新たにまとめノートをキレイに書くのではありません。授業中に、まとめノートの役割をもつ授業ノートを書くのです。
まとめノートのような授業ノートを書くポイントは、次のとおりです。
- キレイさよりも、テストで点数を取ることを目的に授業ノートを書く
- 先生の説明を、自分なりにまとめた授業ノートを書く
- 後から、書き足せるように余白を大きくあけておく
- 先生が「テストに出す」と言った内容をくわしく書き足す
基礎学習である「まとめノートづくり」だけをしていても成績にはつながりにくいです。気をつけましょう。
【まとめ】理科の成績が上がるノートを書こう
ノートは「未来の自分の学力を高めるため」に書きましょう。
そこで、質の高い学習をするために効果的な授業ノートの書き方10選を解説しました。
- 「いいノート」を知る
- A4ノート方眼タイプをつかう
- ペンは3色以内にする
- 余白を大きくとる
- 図や表は大きく書く
- 授業では日付を書く
- 先生の発言をメモする
- 先生の説明が分からなければ?をメモする
- 章が変われば次のページに書く
- 先生からの指示は厳守する
「キレイにノートを書く」ことは「テスト点を高める」ことにつながりません。しかし、雑に書いていい訳でもありません。
「忘れやすい自分の学力を高める」ことをノートを書く目的にしたうえで、上記の10選に取り組み、効果的な学習を心がけましょう。
授業ノートのほかの、効果的なノートについても解説しました。
- 問題集ノート
- 暗記ノート
- 後回しノート
- まとめノート
特に、問題集ノートは必ずつくってほしいです。学校のワークは3回解く必要があるからです。正しい方法で3回解くと、テストの点数は確実に上がります。
テストの点数が上がることで、勉強を頑張る気持ちがさらに湧いてきます。