中学理科 PR

【中3理科】細胞分裂のしくみを徹底解説!体細胞分裂と減数分裂のちがいを分かりやすく!

【中3理科】細胞分裂のしくみを徹底解説!体細胞分裂と減数分裂のちがいを分かりやすく!
記事内に広告を含む場合があります

「体の成長細胞分裂って関係あるの?」
減数分裂体細胞分裂はどうちがうの?」

この記事で分かること 1. 細胞分裂の種類とはたらき 2. 体細胞分裂の流れと染色体 3. 減数分裂と体細胞分裂のちがい

私たちの体が成長し、傷が自然に治るのは、細胞分裂というしくみがあるからです。

染色体が分かれたり移動したりして…」と聞くと、難しくて苦手だと感じるかもしれません。

about me

そこで、現役教員の私が、体細胞分裂減数分裂のしくみを、図解とともにやさしく解説します。

けい先生
けい先生
この記事を読めば、染色体の動きや細胞の分裂のしくみが分かり、定期テストや高校入試で得点源にできます

【基本】細胞分裂と染色体

細胞分裂は、ただ細胞が増えるだけでなく、生物が正しく情報を受けついでいくうえで大切なしくみです。

ここでは、細胞分裂の基本となる染色体と、細胞の種類を確認しましょう。

染色体とは?【形と役割】

染色体(せんしょくたい)とは、細胞分裂のときに見える「ひものようなもの」です。

染色体には、次のような性質があります。

染色体とは?
  • 遺伝子(いでんし)がつまっている
    染色体は細胞の核の中にある。
    染色体内には、親から子へ形質(形や性質)を伝える遺伝子(DNA)がまとまっている。
  • 生物の種類ごとに数が決まっている
    ヒトは46本
  • ペアで存在する
    ふつう、1つの体細胞には、形や大きさの同じ染色体が2本ずつペア(対)になっている。
    1本ずつを両親から受けついでいる
  • 親子で同じ数になる

染色体遺伝子DNAの詳しいちがいについては、次の記事が参考になるでしょう。

アイキャッチ-メンデル×遺伝 分離の法則とDNA
【中3理科】メンデルの遺伝の法則とDNA|顕性:潜性=3:1を分かりやすく解説!【中3理科】メンデルの遺伝の法則を徹底解説!顕性:潜性=3:1、分離の法則、遺伝子・DNA・染色体の違いを網羅。テスト・入試対策のポイントもやさしく図解。...

体細胞と生殖細胞のちがい

多細胞生物の体をつくる細胞は、大きく次の2種類に分けられます。

2種類の細胞

  • 体細胞(たいさいぼう)
  • 生殖細胞(せいしょくさいぼう)

体細胞生殖細胞が、どのような役割を持ち、どのような細胞分裂をするのかを、下の表にまとめました。

細胞の種類 役割 行う細胞分裂 目的 分裂後の染色体の数 "たい さい ぼう 体細胞" "体を構成する すべての細胞" 体細胞分裂 "・体を成長させる ・細胞を増やす" もとと同じ "せいしょくさいぼう 生殖細胞" "子孫をのこすための特別な細胞 卵や精子など" 減数分裂 生殖細胞をつくる もとの半分

体細胞分裂のしくみと流れ

ヒトも多細胞生物であり、私たちの体はたくさんの細胞でできています。

体が成長したり、傷が治ったりするのは、細胞が体細胞分裂(たいさいぼうぶんれつ)で増えているからです。

体細胞分裂のしくみを詳しく解説しますね。

体が成長するしくみ

体細胞分裂は、多細胞生物の体を大きくするためにとても重要な役割をになっています。

成長には、次のように大きく2つのステップがあります。

生物の成長のしくみ
  1. 細胞がふえる
    体細胞分裂によって、1つの細胞が2つに分かれ、細胞の数が増える
  2. 細胞が大きくなる
    分裂してできた新しい細胞は、やがて大きくなり、もとの細胞と同じ大きさになる

けい先生
けい先生
生物は、①細胞が分裂して数を増やし、②新しくできた細胞が大きくなることで、体が成長していくのですね

体細胞分裂の過程と染色体の変化

体細胞分裂は、次のように大きく6つの段階に分けられます。

\ 図と説明をセットで覚えよう / 体細胞分裂の手順 段階 "細胞や染色体 のようす" "かんき 間期" "核は見えるが、染色体は見えない。 染色体(DNA)が2倍に複製される。" "分裂期 前期" "染色体が「ひものようなもの」として現れる。 2本ずつ太く短くなる。" "分裂期 中期" "2本ずつ対になっている 染色体が細胞の中央に 並ぶ。" "分裂期 後期" "中央に並んだ染色体が2つ に分かれ、細胞の両極(端) へ移動する。 " "分裂期 終期" "細胞質が2つに分かれる。 両端に移動した染色体 から、新しい核の形が でき始める。" 新しい細胞 "分裂が完了。 染色体は見えなくなり、核が見えるようになる。 もとの大きさになる。"

体細胞分裂では、分裂前に染色体が2倍に複製され、その後、2つの細胞に分けられます。このため、体細胞分裂を繰り返しても、1つの細胞が持つ染色体の数は、常にもとと同じに保たれるのです。

けい先生
けい先生
まずをつくり、そのあと、細胞質が分かれるという順もポイントです

根で観察される細胞分裂

タマネギの根の先端にある成長点では、活発な細胞分裂を観察できます。

根の先端の観察のポイントは次のとおりです。

  1. 塩酸を落とす:
    細胞を一つ一つ離れやすくするため
  2. 染色液を落とす:
    染色体を染める
    ・酢酸オルセイン溶液(赤紫色)
    ・酢酸カーミン溶液(赤色)
    ・酢酸ダーリア溶液(青紫色)
  3. 指でゆっくりと押しつぶす
    細胞の重なりを少なくするため

観察の結果、次のことが分かります。

  • 根の先端付近では「ひものようなもの」である染色体が見られる
  • 根の先端から上のほうにいくにつれて、細胞の体積が大きくなっている

まとめると、根の先端近くがよく伸びるのは、次の2つの理由があるからです。

  • 根の先端近くの細胞が細胞分裂で細胞の数をふやす
  • 増えた細胞が体積を大きくする

具体的な観察方法やより詳しいポイントについては、次の記事を参考にしてください。

【全解説】タマネギの体細胞分裂の観察実験を分かりやすく!この実験では、細胞分裂をするときの細胞の変化を詳しく観察します。 具体的には、タマネギの根の先端にある、分裂中の細胞の染色体の形や...

けい先生
けい先生
ちなみに、ヒトの場合だと、指の爪(つめ)の根もとを見ても、日々細胞が分裂しているのを感じられますよ!

減数分裂のしくみと流れ

減数分裂(げんすうぶんれつ)は、動物の精子、植物の精細胞卵細胞といった生殖細胞(せいしょくさいぼう)をつくるための特別な細胞分裂です。

減数分裂のポイントは次のとおり。

減数分裂
  • 減数分裂では、分裂後の細胞の染色体の数が半分になる
  • 減数分裂は、生殖細胞をつくるときに行われる

減数分裂を詳しく知りたい▼
\ 2回分裂して4つの生殖細胞ができる / 減数分裂のしくみ 段階 "細胞や染色体 のようす" "かんき 間期" 核が見え、染色体は見えない。DNAが複製される。 "第一分裂 前期" 同じ大きさ・形の染色体が対になる。 "第一分裂 中期" "染色体が太くなり、 中央に並ぶ。" "第一分裂 後期" "対になっていた染色体が 両端へ移動する。" "第一分裂 終期" "2つの細胞ができる。 染色体の数が半分になる。" "第二分裂 前期" "DNAの複製は行われず、 第二分裂が始まる。" "第二分裂 中期" 染色体が中央に並ぶ。 "第二分裂 後期" "染色体がたてに割れ、 両端へ移動する。" "第二分裂 終期" 4つの核ができる。 生殖細胞 "4つの新しい生殖細胞が できる。"

上図のように減数分裂では、1つの細胞が2回続けて分裂します。
その結果、もとの細胞が持っていた染色体の数が
半分になります

なぜ染色体の数を半分にするの?

体細胞分裂とは異なり、減数分裂では染色体の数がもとの細胞の半分になります。それは、卵と精子が受精するとき、それぞれの染色体が合体するからです。

もし減数分裂で染色体の数が半分になっていなければ、受精したときに染色体が倍になってしまい、世代を重ねるごとに増えてしまいます。

どの生物も種類ごとに染色体の数が決まっていて、世代を重ねても同じ染色体数が保たれています。

減数分裂によって染色体の数が調整されているから、親から子へと正しい数の染色体が受けつがれるのです。

減数分裂による生物の多様性

減数分裂では、1つの細胞が2回続けて分裂します。その結果、もとの細胞が持っていた染色体の数が半分になった4つの生殖細胞ができるのが特徴です。

ここで、よくある疑問について補足しますね。

2回分裂したら4分の1にならないの?

2回の分裂のうち1回目が染色体数が半分になる分裂、2回目の分裂は染色体の組み合わせを変える分裂なので、染色体数は4分の1にはなりません。詳しくは高校生物で学習します。

減数分裂によって、両親の遺伝子が組み合わされるため、子は親と全く同じ形質になるとは限りません。

子の顔や性格などが親と似ていたり違っていたりするのは、この遺伝子の組み合わせによるものです。

減数分裂は、生物の多様性を生み出す大きなしくみでもあるのです。

【比較】体細胞分裂と減数分裂のちがい

ここまで体細胞分裂減数分裂のそれぞれを見てきました。どちらも細胞が増えるしくみですが、ちがいがたくさんあるので、詳しく比べていきましょう。

【ざっくり比較】体細胞分裂と減数分裂のちがい

まず、それぞれの細胞分裂の大きな目的を理解しておきましょう。

  • 体細胞分裂: 生物の体を大きくしたり、新しい細胞をつくったりするためのしくみ
  • 減数分裂: 命を次世代へつないでいくための生殖細胞をつくるためのしくみ

【表で比較】分裂のようすのちがい

体細胞分裂と減数分裂のようすを表で比較すると、それぞれの特徴がより分かりやすくなります。

体細胞分裂と減数分裂のちがい 体細胞分裂 減数分裂 細胞分裂を行うとき "体細胞がふえるとき (体をつくる細胞)" "生殖細胞ができるとき (卵や精子など)" 分裂の目的 体の成長 "子孫をのこすための 生殖細胞をつくる" "分裂後の 細胞数" "1個の細胞から 2個の細胞ができる" "1個の細胞から 2回の分裂で4個の細胞 ができる" "分裂後の 染色体数" もとの細胞と同じ数 もとの細胞の半分 "遺伝子の 変化" 親細胞と全く同じ遺伝子を持つ細胞ができる 遺伝子の組み合わせが変わり、多様な細胞ができる場合がある

上記の表に加え、分裂が行われる場所にもちがいがあります。

体細胞分裂は体のさまざまな細胞(体細胞)で行われる一方、減数分裂精巣卵巣など、子孫を残すための特別な細胞(生殖細胞)がつくられる場所でのみ行われます。

生殖細胞とは、子孫を残すための特別な細胞です。精子精細胞卵細胞などがあります。精子をつくる場所を精巣、卵細胞をつくる場所を卵巣といいます。

生殖細胞や、それらがつくられる場所について詳しく復習したい場合は、以下の記事を参考にしてください▼

【中3理科】有性生殖と無性生殖を徹底解説|受精の流れを分かりやすく!
【中3理科】有性生殖と無性生殖を徹底解説|受精の流れを分かりやすく!【中3理科】生物の「生殖」を図解で学ぶ!有性生殖・無性生殖の基本から、動物・植物の具体的な生殖方法まで網羅。定期テスト・入試の重要ポイントを徹底解説。 ...

よくある質問(FAQ)|体細胞分裂・減数分裂・染色体

ここまで、細胞分裂について解説してきました。ここでは、皆さんが疑問に思いやすいポイントをQ&A形式でまとめていきます。

Q.結局、生物ってなぜ成長するの?

生物の体は、細胞の数を増やすことと、一つ一つの細胞が大きくなることによって成長します。

体細胞分裂によって細胞の数が増え、新しくできた細胞がもとの大きさくらいまで大きくなることで、体は大きくなるのです。

Q.染色体と遺伝子は何が違うの?

染色体遺伝子には、次のようなちがいがあります。

  • 染色体:細胞の核の中にあるひものようなもの」で、遺伝子をまとめている。
    細胞分裂のときに見える。
  • 遺伝子:親から子へ形質を伝える情報そのもの。
    染色体の中につまっておりDNAという物質でできている。
遺伝子 < DNA < 染色体 染色体=「DNAがまとまって見える“構造”」 細胞分裂のときに見える、DNAなどがひも状に まとまったもの。ヒトでは46本(23対)ある。 DNA(デオキシリボ核酸)=「遺伝子の情報を記録する“物質”」 遺伝子の本体で、二重らせん構造をした細長い物質。 遺伝子=「形質を決める“情報の単位”」 DNAの中にあり、形質を決める情報のまとまり 本で例えると 本…染色体 紙…DNA 文字情報…遺伝子

例えるなら、染色体は本で、DNAはその本を構成する一枚一枚の紙、遺伝子はその紙に書かれた情報である文章だと言えます。

さらに詳しいちがいについては、次の記事が参考になるでしょう。

アイキャッチ-メンデル×遺伝 分離の法則とDNA
【中3理科】メンデルの遺伝の法則とDNA|顕性:潜性=3:1を分かりやすく解説!【中3理科】メンデルの遺伝の法則を徹底解説!顕性:潜性=3:1、分離の法則、遺伝子・DNA・染色体の違いを網羅。テスト・入試対策のポイントもやさしく図解。...

Q.精子や卵以外の細胞は、すべて体細胞なの?

はい、基本的に精子や卵以外の細胞は、すべて体細胞だと言えます。

多細胞生物の体をつくる細胞は、大きく体細胞生殖細胞に分けられます。

精子(植物の場合は精細胞卵細胞)が生殖細胞で、生殖細胞以外の体を構成するすべての細胞が体細胞です。

Q.体細胞分裂で、なぜ染色体の数がもとと同じになるの?

体細胞分裂では、分裂する前に染色体が一度2倍に複製されます。

その後、複製された染色体が2つの新しい細胞に分けられるため、それぞれの細胞がもとの細胞と同じ数の染色体を持つことができるのです。

体細胞分裂 1.染色体が複製される 2.染色体が分かれて、両端へ移動 3.もとの細胞と染色体が同じになる

Q.減数分裂は、なぜ染色体の数を半分にする必要があるの?

減数分裂で染色体の数を半分にするのは、受精のためです。

精子が合体(受精)するとき、それぞれの染色体が合わさります。

減数分裂によって、染色体数が調整され、親から子へと正しい数の染色体が受けつがれるのです。

減数分裂 1.親の染色体は2本 2.生殖細胞の染色体は1本 3.受精卵(子)の染色体は2本 4.染色体数が保たれる

Q.細胞分裂の図を覚えるコツは?

細胞分裂の流れの図を覚えるには、それぞれの段階で核の形染色体の動きに注目するのがポイントです。

  1. 核の丸い形が見えるが、染色体は見えない
  2. 染色体が2本セットのひものように見える
  3. 染色体が中央に並ぶ
  4. 染色体が両端へ分かれる。
  5. 染色体が両端で集まり、細胞質が2つに分かれる
  6. 2つの新しい核ができ、細胞ができる

上記のポイントを覚えるための『ざっくり分裂ステップ』は、次のとおりです。

-核-1つひも-染色体-が(②散らばる→③一直線→④端へ移動→⑤端で集合)→⑥-核-2つ

体細胞分裂ざっくり➏ステップ ①丸1つ ひも ②散らばる ③一直線 ④端へ移動 ⑤端で集合 ⑥丸2つ

けい先生
けい先生
イラストで流れを覚えるのがコツです!

【まとめ】細胞分裂の重要ポイントを確認しよう

この記事では細胞分裂について詳しく解説してきました。まとめとして、今回の学習で特に重要なポイントを整理して確認しましょう。

細胞分裂の基本用語は次のとおりです。

【細胞分裂】基本用語

  • 染色体(せんしょくたい):細胞分裂のときに核の中に見える「ひものようなもの」
  • 体細胞(たいさいぼう):体をつくっているすべての細胞
  • 生殖細胞(せいしょくさいぼう):生殖に必要な特別な細胞。卵細胞精細胞精子

体細胞分裂のポイントは次のとおりです。

体細胞分裂

  • 体が成長するときに行われる
  • 染色体の数がもとの細胞と同じになる
    [理由]分裂前に染色体が2倍に複製され、その後、2つに分けられるから

減数分裂のポイントは以下のとおりです。

減数分裂

  • 生殖細胞がつくられるときに行われる
  • 染色体の数がもとの細胞の半分になる

この学習のあと「メンデルの遺伝のしくみとDNA」について学ぶと、教科書にそった学習ができます▼

アイキャッチ-メンデル×遺伝 分離の法則とDNA
【中3理科】メンデルの遺伝の法則とDNA|顕性:潜性=3:1を分かりやすく解説!【中3理科】メンデルの遺伝の法則を徹底解説!顕性:潜性=3:1、分離の法則、遺伝子・DNA・染色体の違いを網羅。テスト・入試対策のポイントもやさしく図解。...

生殖について復習したい方は、下の記事がおすすめです▼

【中3理科】有性生殖と無性生殖を徹底解説|受精の流れを分かりやすく!
【中3理科】有性生殖と無性生殖を徹底解説|受精の流れを分かりやすく!【中3理科】生物の「生殖」を図解で学ぶ!有性生殖・無性生殖の基本から、動物・植物の具体的な生殖方法まで網羅。定期テスト・入試の重要ポイントを徹底解説。 ...

けい先生
けい先生
細胞分裂は、中学理科の中でも得点源にしやすい単元です。今回のまとめを参考に、ぜひ復習に役立ててくださいね
ABOUT ME
けい先生
中学校・高校の理科教員。某公立大理学部物理科学科卒業。大手進学塾で集団授業の講師、模試や問題集の作成会社とフリー契約経験あり。 ●サイトのビジョン;科学好きなヒトを増やす! ー不治の病をなくしたり、生活を楽にするモノを開発したりする次世代の科学者が一人でも増えますように。
こちらの記事もおすすめ