そこでこの記事では、理科の計算がキライな方でも理解できるよう、中2理科の化学分野『質量比(定比例の法則)』のキホンを解説します。
私が17年かけて培ってきた塾講師・教員経験を凝縮しました。理科を何とかしたい方は、ぜひ最後までお読みください。
定比例の法則とは?|中2理科 化学
定比例の法則とは「化学変化に関係する物質の質量の比はつねに一定である」という法則です。
なお「定比例の法則」という法則名は、中学理科ではあまり使われません。「質量の比」という表現で出題されることが多いです。
そこで本章では、化学変化のときの物質の質量の比について解説します。内容は、次のとおりです。
本章で学べる内容
- 物質が結びつく質量には限界がある
- 物質が結びつく質量は一定の比になる
- 銅:酸素:酸化銅=4:1:5
- マグネシウム:酸素:酸化マグネシウム
=3:2:5
物質が結びつく質量には限界がある
物質が化学変化によって、別の物質と結びつく質量には限界があります。
銅やマグネシウムなどの金属を加熱して酸化させたときの質量をはかると、次のことが分かります。
金属の酸化と質量の関係
- 金属は酸素と結びつくと、質量が増加する
- 金属がすべて酸化物に変化すると、質量は一定になる
物質が結びつく質量は一定の比になる
物質どうしが結びつく質量は一定の比の関係になります。
例えば、銅と酸素が結びついて酸化銅になる化学変化における、質量について考えましょう。
銅を加熱して完全に酸化させたあとの、酸化銅の質量をはかると、下表の結果になります。
銅の質量 [g] | 酸化銅の質量 [g] |
0 | 0 |
4 | 5 |
8 | 10 |
12 | 15 |
16 | 20 |
20 | 25 |
銅の質量が大きくなると、完全に酸化したあとの酸化銅の質量も大きくなります。
銅の質量と、加熱後の酸化銅の質量をグラフにすると、原点を通る直線になります(下図)。
上グラフから、銅の質量について次のことが分かります。
酸化銅の質量は、銅の質量に比例する
マグネシウムも同様に、次のことが分かります。
酸化マグネシウムの質量は、マグネシウムの質量に比例する
銅:酸素:酸化銅=4:1:5
銅4gに対して、酸素は1g結びつき、5gの酸化銅になります。この関係は、次のような比で表せます。
銅と酸素、酸化銅の質量の比
- 銅:酸素 = 4:1
- 銅:酸化銅 = 4:5
- 銅:酸素:酸化銅 = 4 : 1 : 5
マグネシウム:酸素:酸化マグネシウム=3:2:5
マグネシウム3gに対して、酸素は2g結びつき、5gの酸化マグネシウムになります。この関係は、次のような比で表せます。
マグネシウムと酸素、酸化マグネシウムの質量の比
- マグネシウム:酸素 = 3 : 2
- マグネシウム:酸化マグネシウム = 3 : 5
- マグネシウム:酸素:酸化マグネシウム = 3 : 2 : 5
銅の酸化と質量比を確かめる実験|中2理科 化学
本章では、銅を酸化させて酸化銅にする化学変化の前後における質量の関係から、結びつく質量の比について解説します。
本章で学べる内容は、次のとおりです。
- 銅の酸化と質量比を確かめる実験の手順
- 銅の酸化と質量比を確かめる実験の注意点
- 銅の酸化と質量比を確かめる実験の結果
- 銅の酸化と質量比を確かめる実験の考察
- 銅の酸化と質量比を確かめる実験のまとめ
銅の酸化と質量比を確かめる実験の手順
銅の酸化と質量比を確かめる実験の手順は、次のとおりです。
銅の酸化と質量比を確かめる実験の手順
- ステンレス皿に銅粉末4gを入れる
- 銅粉末を加熱し、質量をはかる
- 銅粉末をかき混ぜ、再び加熱し、質量をはかる
- 質量が一定になるまで、加熱と計量を繰り返し、完全に酸化したときの質量を記録する
- 銅粉末の質量を8g、12g、16g、20gはかりとり、それぞれ上記の手順を行う
銅の酸化と質量比を確かめる実験の注意点
銅の酸化と質量比を確かめる実験の注意点は、次のとおりです。
銅の酸化と質量比を確かめる実験の注意点
- やけどに注意する
- 金属が飛び散らないように加熱する
銅の酸化と質量比を確かめる実験の結果
銅の酸化と質量比を確かめる実験の結果は、次のとおりです。
銅の酸化と質量比を確かめる実験の結果
- 加熱前の銅の質量と、酸化銅の質量の関係のグラフは、原点を通る直線になる
- 加熱前の銅の質量と、結びついた酸素の質量の関係のグラフは、原点を通る直線になる
銅の酸化と質量比を確かめる実験の考察
銅の酸化と質量比を確かめる実験の考察は、次のとおりです。
銅の酸化と質量比を確かめる実験の考察
- 酸化銅の質量は、銅の質量に比例していることが分かる
- 銅と結びついた酸素の質量は、銅の質量に比例していることが分かる
[理由]加熱前の銅の質量と、結びついた酸素の質量の関係をグラフに表すと、その質量の比が一定になっているから
銅の酸化と質量比を確かめる実験のまとめ
銅の酸化と質量比を確かめる実験のまとめは、次のとおりです。
銅の酸化と質量比を確かめる実験のまとめ
- 銅:酸素 = 4:1
- 銅:酸化銅 = 4:5
- 銅:酸素:酸化銅 = 4 : 1 : 5
マグネシウムの酸化と質量比|中2理科 化学
本章では、マグネシウムを酸化させて酸化マグネシウムにする化学変化の前後における質量の関係から、結びつく質量の比について解説します。
本章で学べる内容は、次のとおりです。
- マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の手順
- マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の注意点
- マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の結果
- マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の考察
- マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験のまとめ
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の手順
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の手順は、次のとおりです。
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の手順
- ステンレス皿にマグネシウム粉末4gを入れる
- マグネシウム粉末を加熱し、質量をはかる
- マグネシウム粉末をかき混ぜ、再び加熱し、質量をはかる
- 質量が一定になるまで、加熱と計量を繰り返し、完全に酸化したときの質量を記録する
- マグネシウム粉末の質量を8g、12g、16g、20gはかりとり、それぞれ上記の手順を行う
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の注意点
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の注意点は、次のとおりです。
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の注意点
- やけどに注意する
- 金属が飛び散らないように加熱する
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の結果
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の結果は、次のとおりです。
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の結果
- 加熱前のマグネシウムの質量と、酸化マグネシウムの質量の関係のグラフは、原点を通る直線になる
- 加熱前のマグネシウムの質量と、結びついた酸素の質量の関係のグラフは、原点を通る直線になる
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の考察
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の考察は、次のとおりです。
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験の考察
- 酸化マグネシウムの質量は、マグネシウムの質量に比例していることが分かる
- マグネシウムと結びついた酸素の質量は、マグネシウムの質量に比例していることが分かる
[理由]加熱前のマグネシウムの質量と、結びついた酸素の質量の関係をグラフに表すと、その質量の比が一定になっているから
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験のまとめ
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験のまとめは、次のとおりです。
マグネシウムの酸化と質量比を確かめる実験のまとめ
- マグネシウム:酸素 = 3 : 2
- マグネシウム:酸化マグネシウム = 3 : 5
- マグネシウム:酸素:酸化マグネシウム = 3 : 2 : 5
【練習問題】銅とマグネシウムの酸化と質量|中2理科 化学
質量比の問題を8パターン用意しました。ぜひ、解いて、力を高めてください。
質量比の問題8選
- 酸化物の質量を求める|キホン
- 結びつく酸素の質量を求める|キホン
- もとの金属の質量を求める|キホン
- 銅とマグネシウムを比べる1|応用
- 銅とマグネシウムを比べる2|応用
- 銅とマグネシウムを比べる3|応用
- 未反応パターン|難問
- 混合物パターン|難問
【問題1】酸化物の質量を求める|キホン
【問題2】結びつく酸素の質量を求める|キホン
【問題3】もとの金属の質量を求める|キホン
【問題4】銅とマグネシウムを比べる1|応用
【問題5】銅とマグネシウムを比べる2|応用
【問題6】銅とマグネシウムを比べる3|応用
【問題7】未反応パターン|難問
【問題8】混合物パターン|難問
【まとめノート】定比例(質量比)は書いて理解しよう|中2理科 化学
化学変化における、質量の比(定比例の法則)を解説しました。
まとめノート2枚にぎゅっと内容を整理したので、ぜひ参考にしてください▼
絶対に理解してほしい、質量比を下にまとめました。必ず、覚えてください。
銅と酸素、酸化銅の質量比
- 銅:酸素 = 4:1
- 銅:酸化銅 = 4:5
- 銅:酸素:酸化銅 = 4 : 1 : 5
マグネシウムと酸素、酸化マグネシウムの質量比
- マグネシウム:酸素 = 3 : 2
- マグネシウム:酸化マグネシウム = 3 : 5
- マグネシウム:酸素:酸化マグネシウム = 3 : 2 : 5
以上、質量比(定比例の法則)を解説しました。