中学理科の現役教員けいが「中2理科の生物分野-循環する血液のしくみ–」を、どこよりも分かりやすく解説します。
この記事を読むと、テストに出る問題を意識してつくられたまとめノートにそって学習できるため、動脈と静脈の違いをスッキリ整理して学べます。
私が17年かけて培ってきた塾講師・教員経験を凝縮しました。分かりやすい解説をお望みの方は、ぜひ参考にしてください。
血液とは|中2理科 生物
血液は、全身にはりめぐらされた血管に流れています。本章で、血液について詳しく学びましょう。
本章で出てくるキーワードは次のとおりです。
- 赤血球・ヘモグロビン
- 白血球
- 血小板
- 血しょう・組織液
- 動脈血・静脈血
ヒトの体の中に流れる血について、詳しく解説します。
【本章で学べる内容】
- 血液のはたらき
- 血液の成分
- 動脈血と静脈血
- 組織液と血しょう
血液のはたらき
血液は、体重のおよそ8%ほどの重さがあります。
例えば、体重50kgのヒトなら、血液は約4リットルあるのです。
血液のはたらきは、主に次の3つです。
【血液のはたらき】
- 酸素や栄養分を全身へ届け、二酸化炭素や不要な物質を全身から回収する
- 体外から入ってきた病原体や異物を排除する
- 傷ができたときに、血管をなおし、血液が流れ出るのを防ぐ
血液の成分【赤血球・白血球・血小板】
血液の成分には、固体と液体があります。
固体成分は、赤血球と白血球、血小板です。
【血液の固体成分】
- 赤血球…中央がくぼんだ円盤形。
ヘモグロビンを含み、
酸素を運ぶ。 - 白血球…いろいろな形。
ウイルスを分解する。 - 血小板…小さくて不規則な形。
出血したときに
血液を固める。
赤血球に含まれるヘモグロビンの性質は、次のとおりです。
【ヘモグロビンの性質】
- 酸素の多いところでは、酸素と結びつく
- 酸素の少ないところでは、酸素をはなす
血液には、血しょうという液体成分もあります。
【血液の液体成分】
血しょうのはたらき
- 小腸で吸収した栄養分(ブドウ糖やアミノ酸)を全身へ運ぶ
- 細胞呼吸で生じた不要物(二酸化炭素やアンモニア)を運ぶ
なお、血しょうが血管からしみ出たものが、組織液です。
動脈血と静脈血【肺から出る動脈血・戻る静脈血】
血液には2種類あります。動脈血と静脈血です。
- 動脈血…酸素を多く含む血。
あざやかな赤色 - 静脈血…二酸化炭素を多く含む血。
暗赤色
動脈血と静脈血は、肺を中心として名前が決まります。
肺を通ったあとの酸素を多く含む血液が動脈血、肺を通る前の二酸化炭素を多く含む血液が静脈血です。
組織液と血しょう
血しょうの一部が毛細血管からしみ出して、細胞のまわりを満たしているものが組織液です。
毛細血管の壁は非常にうすいため、血しょうがしみ出しやすいのです。
赤血球が運んできた酸素や、血しょうが運んできた栄養分は、組織液を通じて細胞に引き渡されます。
細胞は細胞呼吸によりエネルギーをとり出します。
生じた二酸化炭素や不要物は、組織液を通じて血しょうに引き渡されます。
心臓とは|中2理科 生物
心臓は、血液の流れをつくり出す器官です。
心臓は厚い筋肉でできているため、自ら収縮して血液の流れをつくるポンプのはたらきをしています。
本章で出てくるキーワードは次のとおりです。
- 拍動
- 心室・心房
- 動脈・静脈
- 大動脈・大静脈
ヒトの心臓について、詳しく解説します。
【本章で学べる内容】
- 心臓のつくり
- 拍動のしくみ
- 心臓と血管の関係
心臓のつくり【4つの部屋】
心臓は4つの部屋に分かれています。
上の方にある2つの部屋を心房、下の方にある2つの部屋を心室といいます。
体の右側には、上にある右心房、下にある右心室があります。
体の左側には、上にある左心房、下にある左心室があります。
拍動のしくみ【心臓が血を動かす】
心臓が周期的に収縮する運動を、拍動といいます。ドックンドックンという心臓の運動のことです。
心臓は厚い筋肉でできており、その筋肉が収縮して血液に圧力をかけることで、血液を送り出します。
心臓の動きと血液の動きは、次のようにまとめられます。
[心臓の動き] | [血液の動き] |
心房が広がる | 心房に流れこむ |
心房が収縮し 心室が広がる | 心房から出た血液が 心室に流れこむ |
心室が収縮 | 全身や肺に流れ出る |
心臓と血管の関係
心臓の各部屋は血管とつながっています。
血液の流れと心臓・血管の関係は、次のとおりです。
【血液と心臓・血管の関係】
1.全身から心臓へ流れてくる血液
- 大静脈から右心房へ
- 右心房から右心室へ
- 右心室から肺動脈へ
2.肺から心臓へと流れてくる血液
- 肺静脈から左心房へ
- 左心房から左心室へ
- 左心房から大動脈へ
血管とは|中2理科 生物
血管は主に3種類あります。動脈、静脈、毛細血管です。
本章で、血管について詳しく学びましょう。
本章で出てくるキーワードは次のとおりです。
- 動脈・静脈
- 毛細血管
- 動脈血・静脈血
ヒトの血管について、詳しく解説します。
【本章で学べる内容】
- 動脈と静脈
- 弁
- 大○脈と肺○脈
- 大動脈
- 大静脈
- 肺動脈
- 肺静脈
動脈と静脈【心臓から出る動脈・戻る静脈】
血管は、動脈と静脈の2つに分けられます。
動脈と静脈をつなぎ、全身を網のようにはりめぐらせているのが毛細血管です。
動脈と静脈は心臓が中心となって名前が決まります。
動脈は、心臓から血液が出ていく血管です。
静脈は、心臓へ血液が戻る血管です。静脈にのみ弁がついています。
弁【静脈のみ】
弁は、静脈にのみついています。
弁には血液の逆流をふせぐはたらきがあります。
大○脈と肺○脈
中学理科では動脈や静脈を、さらに2種類に分けます。
- 心臓が肺とつながっている…肺動脈、肺静脈
- 心臓が肺以外の全身へつながっている…大動脈、大静脈
動脈と静脈について、次のようにまとめられます。
心臓と肺
- 肺動脈
- 肺静脈
心臓と全身
- 大動脈
- 大静脈
大動脈
大動脈は、心臓の左心室から全身の細胞へ送り出される動脈血が流れる血管です。
【大動脈】
- 左心室から出る
- 全身の細胞とつながる
- 動脈血が流れる
- 酸素を運ぶ
大静脈
大静脈は、全身の細胞から心臓の右心房へ戻る静脈血が流れる血管です。
【大静脈】
- 右心房へ戻る
- 全身の細胞とつながる
- 静脈血が流れる
- 二酸化炭素を運ぶ
肺動脈
肺動脈は、心臓の右心室から肺へ送り出される静脈血が流れる血管です。
【肺動脈】
- 右心室から出る
- 肺とつながる
- 静脈血が流れる
- 二酸化炭素を運ぶ
肺静脈
肺静脈は、肺から心臓の左心房へ戻る動脈血が流れる血管です。
【肺静脈】
- 左心房へ戻る
- 肺とつながる
- 動脈血が流れる
- 酸素を運ぶ
血液の循環|中2理科 生物
血液は心臓を中心として、循環しています。
本章で、血液の循環について詳しく学びましょう。
本章で出てくるキーワードは次のとおりです。
- 循環系
- 肺循環・体循環
ヒトの血液循環について、詳しく解説します。
【本章で学べる内容】
- 循環系
- 肺循環
- 体循環
循環系
血液やリンパ液の循環に関わる器官を、循環系と言います。
循環系の主な器官は、心臓や血管、リンパ管などです。
肺循環
心臓から出た血液は肺へ流れ、再び心臓へ返ってきます。この循環を肺循環と言います。
肺循環の具体的な流れは、次のとおりです。
【肺循環】
- 右心室【心臓】
- 肺動脈
- 肺
- 肺静脈
- 左心房【心臓】
肺動脈【○○を多く含む】
肺は、酸素と二酸化炭素を交換する器官です。
肺を通ったあと、血液には酸素が多く含まれます。逆に、肺に達する前の血液は二酸化炭素が多いです。
血管と気体の関係は、次のようにまとめられます。
【動脈・静脈と気体】
- 肺動脈は酸素を多く含む
- 肺静脈は二酸化炭素を多く含む
体循環
心臓から出た血液は全身へ流れ、再び心臓へ返ってきます。この循環を大循環と言います。
大循環の具体的な流れは、次のとおりです。
【大循環】
- 左心室【心臓】
- 大動脈
- 全身の細胞
- 大静脈
- 右心房【心臓】
小腸と肝臓の間【○○を多く含む】
小腸は、栄養分を吸収する器官です。
小腸で吸収した栄養分は、血管を通って肝臓へ運ばれます。
小腸と肝臓をつなぐ血管には、栄養分が多く含まれている
小腸と肝臓をつなぐ血管は肝門脈と呼ばれます。
肝門脈は小腸からの毛細血管が束になった静脈です。
腎臓のあと【○○が少ない】
腎臓は、不要物を排出する器官です。
腎臓を通ったあとの血管は、不要物が少ない
大動脈から腎臓へつなぐ血管は腎動脈と呼ばれます。
腎臓から大静脈へつなぐ血管は腎静脈です。
【まとめノート】心臓・血管の関係と血液循環を理解しよう|中2理科 生物
本記事では、心臓と血管の関係と血液循環について学習しました。
循環系の説明と、血液の成分について、次のようにまとめるといいでしょう。
特に理解してほしい点は次のとおりです。
【血液の成分】
- 赤血球;ヘモグロビンを含み、酸素を運ぶ
- 白血球;ウイルスなどの病源体を分解する
- 血小板;出血時に血液を固める
- 血しょう;栄養分や不要物を運ぶ
ヘモグロビンの性質も覚えておくといいでしょう。
【ヘモグロビンの性質】
酸素の多いところで酸素と結びつき、酸素の少ないところで酸素をはなす
心臓について、次のまとめノートを参考にしてください。
上のノートで特に注意したいのは次の点です。
- 拍動における心臓や血液の動き
- 心臓の各部屋の名前と、血管の名前
- 動脈と静脈について
血液の種類と循環について、次のまとめノートのように学習するといいでしょう。
図も自分の手で書くことで、理解が進みます。
動脈血や静脈血が、何という血管に流れているのか確認しましょう。
以上、中学2年生の生物分野『心臓と血管と血液循環』についての解説でした。
小腸や消化と吸収の解説は、こちらから復習できます▼
肺と呼吸についても復習すると、より肺循環について理解が深まるでしょう▼
腎臓について学習し、大循環についての理解を深めるといいでしょう。
この記事が、皆さんの理解のお役に立てれば幸いです。