中学理科の現役教員けいが「中2理科の生物分野-目や耳のつくりと刺激・感覚–」を、世界一分かりやすく解説します。
この記事を読むと、分かりやすいまとめノートにそって学習できるため、感覚や刺激の関係を整理して学べます。
私が17年かけて培ってきた塾講師・教員経験を凝縮しました。ノートに書いて学びたい方は、ぜひ参考にしてください。
感覚器官とは|中2理科 生物
感覚器官は、外界からの刺激を受け取る器官のことです。
ヒトの感覚器官は、主に次の5つです。
【ヒトの感覚器官】
- 目
- 耳
- 鼻
- 舌
- 皮膚
感覚器官の中には、刺激を受け取る感覚細胞と言う細胞があります。
感覚細胞が受け取った刺激の信号を、脳などに伝える神経を感覚神経と言います。
ヒトの感覚器官には、三半規管と呼ばれる平衡感覚などを感じとる器官があります。
ヒトにはなく、他の動物にある感覚器官は、次のようなものがあります。
- ピット器官…ヘビ
- 側線…魚類
- 触角…節足動物
刺激
生物になんらかの反応を起こさせるものを、刺激と言います。
ヒトが感じとる主な刺激は、次のとおりです。
【ヒトと刺激】
- 光
- 音
- におい
- 味
- 圧力
- 痛み
- 温度
刺激と感覚器官の関係をまとめると、次のようになります。
刺激 → 感覚器官
- 光 → 目
- 音 → 耳
- におい → 鼻
- 味 → 舌
- 圧力、痛み、温度 → 皮膚
感覚
感覚とは、刺激を感じることで、脳で生じる意識のことです。
よく聞く五感とは、次のとおりです。
五感(ごかん)とは
- 視覚(しかく)
- 聴覚(ちょうかく)
- 触覚(しょっかく)
- 味覚(みかく)
- 嗅覚(きゅうかく)
上記の他にも圧覚、痛覚、冷覚、温覚、平衡感覚などがあります。
刺激と感覚器官、感覚の関係をまとめると、下表のようになります。
刺激 | 感覚器官 | 感覚 |
光 | 目 | 視覚 |
音 | 耳 | 聴覚 |
におい | 鼻 | 嗅覚 |
味 | 舌 | 味覚 |
圧力、痛み、温度 | 皮膚 | 触角など |
目のつくりとはたらき|中2理科 生物
目は、光の刺激を受け取る感覚器官です。
脳に光の刺激の信号を送ることで、視覚という感覚が生じます。
本章では、目のつくりとはたらきについて解説します。
目のつくり
目には、次のようなつくりがあります。
【目のつくり】
- 虹彩
- 瞳
- レンズ
- 網膜
各部のはたらき【虹彩・レンズ・網膜】
目の各部分には、次のような役割があります。
目の各部のはたらき
- 虹彩;目に入る光の量を調節する
- レンズ;厚みを変え、光を屈折させる
- 網膜;光の刺激を信号に変える
瞳の大きさは、虹彩によって変わります。
目に入る光の量が大きいと、瞳は小さくなります。
逆に、目に入る光の量が小さいと、瞳は大きくなります。
光の刺激の伝わり方
光の刺激に対して、脳が視覚を生じるまでの伝わり方は、次のとおりです。
光の刺激の伝わり方
- 光の刺激が生じる
- 虹彩が、瞳の大きさを変え、目に入る光の量を調節する
- 光が瞳を通過する
- レンズは厚みを変えることで、光を屈折させて、網膜に像をつくる
- 網膜にある感覚細胞が、光の刺激を信号に変える
- 信号が視神経を通って、脳に送られる
- 脳内で「見える」という視覚が生じる
耳のつくりとはたらき|中2理科 生物
耳は、音の刺激を受け取る感覚器官です。
脳に音の刺激の信号を送ることで、聴覚という感覚が生じます。
本章では、耳のつくりとはたらきについて解説します。
耳のつくり
耳には、次のようなつくりがあります。
【耳のつくり】
- 鼓膜
- 耳小骨
- うずまき管
各部のはたらき【鼓膜・耳小骨・うずまき管】
耳の各部分には、次のような役割があります。
耳の各部のはたらき
- 鼓膜;音(空気の振動)をとらえて振動する
- 耳小骨;鼓膜の振動を伝える
- うずまき管;音の刺激を信号に変える
うずまき管の内部は液体が満たされており、液体の振動を信号に変えます。
音の刺激の伝わり方
音の刺激に対して、脳が聴覚を生じるまでの伝わり方は、次のとおりです。
音の刺激の伝わり方
- 音(空気の振動)の刺激が生じる
- 空気の振動を鼓膜がとらえて、振動する
- 耳小骨が、鼓膜の振動をうずまき管の中の液体に伝える
- うずまき管にある感覚細胞が、内部の液体の振動を信号に変える
- 信号が聴神経を通って、脳に送られる
- 脳内で「聞こえる」という聴覚が生じる
鼻のつくりとはたらき|中2理科 生物
鼻は、においの刺激を受け取る感覚器官です。
脳ににおいの刺激の信号を送ることで、嗅覚(きゅうかく)という感覚が生じます。
本章では、鼻のつくりとにおい、神経のはたらきについて解説します。
においと嗅神経
中学理科における、鼻についての重要ポイントは次の3つだけです。
- 鼻が感じとる刺激は、におい
- 生じる感覚は嗅覚
- 信号は嗅細胞が伝える
においの刺激の伝わり方
においの刺激に対して、脳が嗅覚を生じるまでの伝わり方は、次のとおりです。
においの刺激の伝わり方
- におい物質が鼻の中に入る
- 鼻の中の感覚細胞が、においの刺激を感じとり、信号に変える
- 嗅神経が、信号を脳へ伝える
- 脳内で「においがする」という嗅覚が生じる
皮膚のつくりとはたらき|中2理科 生物
皮膚は、あたたかさ、冷たさ、痛み、圧力などの刺激を受け取る感覚器官です。
脳に刺激の信号を送ることで、触覚(しょっかく)などの感覚が生じます。
本章では、皮膚のつくりや神経のはたらきについて解説します。
皮膚が感じる刺激
中学理科における、皮膚についての重要ポイントは次の3つだけです。
- 皮膚が感じとる刺激は、あたたかさ、冷たさ、痛み、圧力など
- 生じる感覚は触覚など
- 刺激は感覚点が受け取る
刺激の伝わり方
皮膚に何かが触れるなどの刺激に対して、脳が触覚を生じるまでの伝わり方は、次のとおりです。
【刺激の伝わり方】
- 皮膚に何かが触れる
- 皮膚の中の感覚点が、触られた刺激を感じとる
- 感覚神経が、信号を脳へ伝える
- 脳内で「何かが触れた」という触覚が生じる
舌のつくりとはたらき|中2理科 生物
舌は、味の刺激を受け取る感覚器官です。
脳に味の刺激の信号を送ることで、味覚(みかく)という感覚が生じます。
本章では、舌のつくりと味、神経のはたらきについて解説します。
味と味覚神経
中学理科における、舌についての重要ポイントは次の2つだけです。
- 舌が感じとる刺激は、味
- 生じる感覚は味覚
味の刺激の伝わり方
味の刺激に対して、脳が味覚を生じるまでの伝わり方は、次のとおりです。
味の刺激の伝わり方
- 食べ物が舌にふれる
- 舌の中の感覚細胞が、味の刺激を感じとり、信号に変える
- 神経が、信号を脳へ伝える
- 脳内で「味がする」という味覚が生じる
メダカの定位性実験|中2理科 生物
水槽の中のメダカを観察し、刺激と感覚について考察しましょう。
本章で考えるのは、次の2パターンです。
メダカの定位性実験
- 水槽に水流をつくる
- 水槽の外側の模様を回転させる
本章では、メダカの観察により考えられる刺激と感覚について、解説します。
メダカの性質
メダカなどの川魚には、同じ位置を保とうとする習性(定位性)があります。
川は山から海に向かって流れていくため、川魚は上流に向かって泳ぎ続けないと、海へと流されてしまうためです。
メダカの定位性を利用し、メダカの感覚と刺激について考えます。
実験1.水槽に水流をつくる
〔手順〕
メダカの入っている水槽の水を、ガラス棒で一定方向に回し、水流をつくる。
〔結果〕
水流をつくった結果、メダカは流れに逆らうように泳いだ。
〔考察〕
メダカが、水流と逆向きに泳いだ結果から分かることは、
ということである。
メダカは水流が生じると、習性により逆向きに泳いでしまうのです。
水の圧力を水圧といい、水圧の刺激を受け取るのは、詳しくいうと側線という感覚器官です。
中学理科では側線という用語は覚える必要がないため「水流を皮膚が感じとった」と表現しています。
実験2.模様を回転させる
〔手順〕
1.メダカの入っている水槽の外側に、縦じまの模様を用意する
2.模様を一定方向に回転させる
〔結果〕
模様を回転させた結果、メダカは模様の回転と同じ向きに泳いだ。
〔考察〕
メダカが、模様と同じ向きに泳いだ結果から分かることは、
ということである。
メダカが模様と同じ向きに泳ぐ理由は、次のとおりです。
- メダカは動く模様を見て、もとにいた場所が動いたと錯覚してしまう
- メダカのもとの場所にいつづけようとする習性のために、もといた場所に追いつこうとして、模様を追いかけてしまう
上記の理由で、模様と同じ向きに泳ぐようになるのです。
【まとめノート】感覚器官と刺激の関係を理解しよう|中2理科 生物
本記事では、感覚と刺激の関係、目や耳のつくりについて解説しました。
刺激と感覚について、メダカの定位性実験については、次のまとめノートのようにまとめましょう。
ぜひ、自分の手でノートに書いて、理解を深めてください。
上のノートにおけるポイントは、次の3点です。
- 刺激とは、反応を起こさせるもの
- 感覚器官は刺激を受け取る器官。目や耳など
- 刺激の信号は感覚細胞がつくり、感覚神経を通って脳へ伝わる
目や耳のつくりと、刺激・感覚の関係については、次のまとめノートで復習するといいでしょう。
目や耳のつくりについて、まとめなおすと、次のようになります。
- 虹彩は、目に入る光の量を調節する
- レンズは、厚みを変えて、光を屈折させる
- 網膜は、光の刺激を信号に変える
- 鼓膜は、音(空気の振動)をとらえて振動する
- 耳小骨は、鼓膜の振動を伝える
- うずまき管は、音の刺激を信号に変える
以上、中学2年生の生物分野『目や耳のつくりと刺激、感覚』についての解説でした。
器官と細胞について復習したい方は、こちらからどうぞ▼
この記事が、皆さんの理解のお役に立てれば幸いです。