- 細胞のはたらきを分かりやすく教えて!
- 細胞のまとめノートを書く例が知りたい
中学2年で学習する細胞の学習内容は、ノートにしてたった3枚分だけでかんたんです。しかし、聞き覚えのない理科用語がたくさん出てくるため、覚えにくいと感じる方はとても多いです。
私は大手進学塾講師歴3年、教員歴14年以上をかけて小中高生の理科の指導に現場で携わってきました。また、入試対策問題集の出版社との契約歴もあり、理科教材を100冊以上、比較研究してきました。
そこでこの記事では、中学理科の現役教員による中2理科の生物分野【細胞のつくりとはたらき】を、どこよりも分かりやすく解説します。
この記事を読むと、テストに出る問題を意識してつくられた最強のまとめノートにそって学習できるため、絶対に細胞の内容が覚えられるようになります。
私が17年かけて培ってきた塾講師・教員経験を凝縮しました。2年生になってテストでよい点を取りたい方はぜひ参考にしてください。
細胞とは『生物の体をつくる小さな部屋』|中2理科 生物
細胞とは、生物の体をつくる小さな部屋のようなものです。
細胞は、すべての生物に共通して見られる、体をつくる基本単位になっています。
細胞の数が1つだけの生物を単細胞生物、細胞が多数ある生物を多細胞生物と言います。詳しく解説します。
単細胞生物と多細胞生物
単細胞生物の体は、1つの細胞からできています。
例えば、ゾウリムシ、アメーバ、ミカヅキモなどが単細胞生物です。
多細胞生物は、体が多数の細胞からできています。
例えば、ミジンコ、アオミドロなどが多細胞生物です。もちろん、ヒトやヒマワリも多細胞生物です。
多細胞生物には、いろいろな種類の細胞があり、様々なはたらきがあります。
ゾウリムシのつくり【発展】
単細胞生物であるゾウリムシには、1つの細胞内にいろいろなはたらきをするしくみが発達しています。
【ゾウリムシのつくりと各部のはたらき】
- 繊毛(せんもう):運動する
- 収縮胞(しゅうしゅくほう):水分を調整、排水する
- 核(かく):細胞の活動に大きく関わる
- 細胞口(さいぼうこう):食べ物をとり込む
- 食胞(しょくほう):消化する
- 細胞肛門(さいぼうこうもん):不要物を排出する
上記は高校の生物で詳しく学習します。
多細胞生物の体【細胞・組織・器官・個体】
多細胞生物の体は、種類によりはたらきや形が違う細胞がたくさん集まってできています。
ちなみに、ヒトの細胞は37兆個もあります。
中学理科でよく出てくる細胞としては、次のような細胞があげられます。
【ヒトの細胞】
- 筋細胞
- 上皮細胞
【植物の細胞】
- 表皮細胞
- 葉肉細胞
はたらきや形が同じ細胞の集まりを、組織と言います。例えば、次のような組織があります。
【ヒトの組織】
- 筋組織 ≫ 筋細胞の集まり
- 上皮組織 ≫ 上皮細胞の集まり
【植物の組織】
- 表皮組織 ≫ 表皮細胞の集まり
- 葉肉組織 ≫ 葉肉細胞の集まり
組織の集まりを器官と言います。器官は特定のはたらきを持っています。
【ヒトの器官】
- 肺 ≫ 呼吸する
- 胃 ≫ 消化する
- 心臓 ≫ 血液を送り出す
【植物の器官】
- 根 ≫ 水を吸い上げる
- 茎 ≫ 体を支える
- 葉 ≫ 光合成する
器官がいくつか集まる独立した1個の生物体を個体と言います。ヒトやタンポポなどが個体にあたります。
細胞のつくり|中2理科 生物
1665年に、イギリスのロバート・フックが細胞を発見しました。
フックが発見したのは植物細胞でしたが、動物にも細胞があります。
本章では、植物と動物の細胞について詳しく解説します。
動物細胞のつくり
動物の細胞に見られるつくりは次のとおりです。
- 核
- 細胞膜
- 細胞質
核は、染色液で染めると見やすくなります。
核は、1つの細胞に1つあります。
中学理科でよく出てくる染色液は、次の3つです。
- 酢酸カーミン溶液…赤色
- 酢酸オルセイン溶液…赤紫色(または赤色)
- 酢酸ダーリア溶液…青紫色
細胞膜は、細胞質の外側にあるうすい膜です。
細胞質は、核と細胞壁以外のものです。細胞膜や液胞、葉緑体も細胞質です。
【発展】
高校生物で学習する動物細胞のつくりには、次のようなものもあります。
- ゴルジ体
- ミトコンドリア
- リボソーム
植物細胞のつくり
植物の細胞に見られるつくりは次のとおりです。
- 核
- 細胞膜
- 細胞質
- 細胞壁
- 葉緑体
- (成長した)液胞
細胞壁は、細胞を保護し、植物の体の形を保ちます。厚いため、細胞の境界がはっきり見えます。
液胞は、細胞の活動でできた物質がとけた液で満たされている袋状のつくりです。
発達した液胞は、成長した細胞に見られます。
ちなみに「細胞の活動でできた物質がとけた液」とは、栄養分や老廃物、水分などのことを指します。
つまり、液胞とは栄養分や老廃物、水分などで満たされた袋状のつくりであると言えます。詳しくは高校の生物の授業で学習します。
葉緑体は、光合成を行う緑色の小さな粒です。
高校生物で学習する動物細胞のつくりには、次のようなものもあります。
- ゴルジ体
- ミトコンドリア
- リボソーム
動物細胞と植物細胞の共通のつくり【核・細胞膜・細胞質】
動物の細胞と植物の細胞に共通して見られるつくりは次のとおりです。
- 核
- 細胞膜
- 細胞質
次のつくりも、動物と植物に共通して見られる細胞のつくりです。
- ゴルジ体… 物質の輸送
- ミトコンドリア… 細胞呼吸
- リボソーム…タンパク質をつくる
ゴルジ体などは、詳しくは高校の生物の授業で詳しく学習します。
植物細胞だけに存在するつくり【葉緑体・液胞・細胞壁】
植物の細胞にだけ見られるつくりは次のとおりです。
- 細胞壁
- (発達した)液胞
- 葉緑体
高校生物では、動物の細胞だけに見られるつくりとして「中心体」があると学習します。
細胞の観察|中2理科 生物
タマネギの表皮とヒトのほおの内側の粘膜の細胞を染色液で染色し、顕微鏡で観察します。
細胞の観察実験に必要なものは次のとおりです。
【実験に必要なもの】
- 顕微鏡
- スライドガラス
- カバーガラス
- 剃刀(かみそり)
- スポイト
- 染色液(酢酸カーミン溶液、酢酸オルセイン溶液、酢酸ダーリア溶液)
- ろ紙
- ピンセット
- えつき針
特に、重要な薬品としては染色液があげられます。
染色液を用いると、細胞の核だけ染まるため、観察にとても役立ちます。
観察の手順や結果などを、詳しく解説します。
タマネギの表皮の細胞を観察
タマネギの細胞を観察する手順は、次のとおりです。
- タマネギの内側に5mm四方の切り込みを入れる
- 表皮をスライドガラスにのせる
- 染色液を落として、3分待つ
- カバーガラスをかける
- はみ出した液をろ紙で吸い取る
タマネギの表皮の細胞を観察して分かることは、次のようなことです。
【タマネギの表皮の細胞の観察の結果】
- 細胞1つ1つの形がある程度そろっている
- 細胞をしきる壁が厚い
- 細胞1つにつき、丸く染色されるものが1つある
ヒトのほおの内側の粘膜の細胞を観察
ヒトのほおの内側の粘膜の細胞を観察する手順は、次のとおりです。
- ほおの内側を綿棒でかるくこする
- こすりとった粘膜をスライドガラスにのせる
- 染色液を落として、3分待つ
- カバーガラスをかける
- はみ出した液をろ紙で吸い取る
ヒトのほおの内側の粘膜の細胞を観察して分かることは、次のようなことです。
【観察の結果】
- 細胞1つ1つの形がバラバラである
- 細胞をしきる壁がうすい
- 細胞1つにつき、丸く染色されるものが1つある
細胞観察の結果と考察
植物と動物の細胞を観察した結果は、次のようにまとめられます。
【植物細胞の観察結果】
- 細胞1つ1つの形がある程度そろっている
- 細胞をしきる壁が厚い
- 細胞1つにつき、丸く染色されるものが1つある
【動物細胞の観察結果】
- 細胞1つ1つの形がバラバラである
- 細胞をしきる壁がうすい
- 細胞1つにつき、丸く染色されるものが1つある
細胞を観察した結果から分かること(考察)は次のとおりです。
【植物細胞と動物細胞の共通点】
- 細胞1つにつき、丸く染色されるものが1つある。この丸く染色されたものが細胞の核だと考えられる
【植物細胞と動物細胞の相違点】
- 細胞をしきる壁の厚さが植物の細胞では厚いのに対して、動物の細胞ではうすい。これは、植物細胞に細胞壁があるからだと考えられる
- 細胞の形が植物の細胞ではある程度そろっているのに対して、動物の細胞では不均一
細胞観察の注意点【染色液・プレパラート】
細胞の観察で注意すべきことは、次のとおりです。
- カバーガラスをかぶせるとき、気泡が入らないようにする。
〔理由〕あわが入ると、顕微鏡で見たとき見づらくなるから
- カバーガラスから水や染色液がはみ出したとき、ろ紙を使って水や染色液を吸い取る
【細胞のはたらき】細胞で行われる活動|中2理科 生物
本章では、細胞のはたらきについて、詳しく解説します。
細胞呼吸
細胞呼吸は、細胞が酸素をつかって栄養分を分解し、エネルギーをとり出すはたらきです。
全細胞が細胞呼吸を行います。
細胞内で分解される栄養分とは、炭水化物などの有機物です。
【炭水化物について】
- 炭水化物は炭素を含んでいるため、エネルギーを取り出したあと、二酸化炭素ができる
- 炭水化物は水素を含んでいるため、エネルギーを取り出したあと、水ができる
細胞呼吸は「細胞の呼吸」または「内呼吸」とも言います。
なお、肺による呼吸は「外呼吸」ということがあります。
栄養分を得る方法
細胞呼吸に必要な栄養分をとる方法は、生命によってちがい、次のとおりです。
- 植物…日光を受けてみずからつくり出す
- 動物…ほかの生物を食べ物として食べる
- 単細胞生物…食物を体外から直接とり入れる
【まとめ】細胞のつくりとはたらき|中2理科 生物
この記事では、細胞のつくりとはたらきについて学習しました。
細胞が1つだけの生物を単細胞生物、細胞が多数ある生物を多細胞生物と言い、次のようにまとめられます。
細胞 ≫ 組織 ≫ 器官 ≫ 固体
動物の細胞と植物の細胞には、共通点と相違点があり、次のようにまとめられます。
- 植物の細胞だけにみられるつくり:細胞壁、液胞、葉緑体
- 動物と植物の細胞に共通するつくり:細胞膜、核、細胞質
動物や植物の細胞は、次のようにかんたんに観察できます。
染色液を用いると核だけ染まる
細胞の主なはたらきは、細胞呼吸によって生きるために必要なエネルギーを取り出すことであり、次のようにまとめられます。
- 栄養分 + 酸素
↓【細胞呼吸】↓
水 + 二酸化炭素 - 細胞呼吸によりエネルギーを取り出せる
細胞の観察には顕微鏡を用いるため、顕微鏡のつかい方も学びなおすことがおすすめです。
中学1年生で学習した植物や動物の内容も復習しておきましょう。