中学理科の現役教員けいが「中2理科の化学分野-化学式と分子、単体と化合物–」を、どこよりも分かりやすく解説します。
この記事を読むと、要点をギュッとまとめた分かりやすいまとめノートにそって学習できるため、効率的な学習ができます。
私が17年かけて培ってきた塾講師・教員経験を凝縮しました。入試や定期テストに本当に出る化学式を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
化学式とは|中2理科 化学
化学式は、元素記号と数字を用いて物質を表したものです。
化学式の表し方のルールは、次のとおりです。
化学式の表し方
- 元素記号の組み合わせの順番を守る
 - 数字は右下に小さくつける
 
例)水の化学式H₂Oについて考えてみましょう▼
水の化学式における誤った例
- OH₂・・・原子の順番を守る
 - 2HO・・・先頭に数字をつけない
 - H²O・・・数字は右下に小さくつける
 
この章では、次の3点について解説します。
本章で学べる内容
- 入試・テストに出る単体の化学式一覧
 - 入試・テストに出る化合物の化学式一覧
 - 化学式を覚えるコツ
 
入試・テストに出る単体の化学式一覧
単体は、元素が1種類でつくられている物質です。単体は、化学変化によって分解できない物質です。
| 単体の物質名 | 化学式 | 
| 水素 | H₂ | 
| ヘリウム | He | 
| 炭素 | C | 
| 窒素 | N₂ | 
| 酸素 | O₂ | 
| ナトリウム | Na | 
| マグネシウム | Mg | 
| アルミニウム | Al | 
| 硫黄 | S | 
| 塩素 | Cl₂ | 
| カリウム | K | 
| カルシウム | Ca | 
| 鉄 | Fe | 
| 銅 | Cu | 
| 亜鉛 | Zn | 
| 銀 | Ag | 
| バリウム | Ba | 
| 水銀 | Hg | 
「₂」をつける単体の化学式は、ゴロ合わせで覚えてしまうのも1つの手です。
「₂」をつける単体の化学式「エサスイッチは2回押せ」
- エ・・・・・塩素;Cl₂
 - サ・・・・・酸素;O₂
 - スイ・・・水素;H₂
 - ッチ・・・窒素;N₂
 
単体のなかには、分子をつくるものと、分子をつくらないものがあります。
2種類の単体
・分子をつくる
 →気体(Cl₂、O₂、H₂、N₂)
・分子をつくらない
 →He、C、S、金属(Na、Mgなど)
入試・テストに出る化合物の化学式一覧
化合物は、元素が2種類以上でつくられている物質です。
 化合物は、化学変化によって、別の物質に分解できます。
| 化合物の物質名 | 化学式 | 
| 水 | H₂O | 
| アンモニア | NH₃ | 
| 塩化ナトリウム | NaCl | 
| 塩化水素 | HCl | 
| 塩化銅 | CuCl₂ | 
| 酸化銅 | CuO | 
| 酸化銀 | Ag₂O | 
| 酸化マグネシウム | MgO | 
| 過酸化水素 | H₂O₂ | 
| 二酸化炭素 | CO₂ | 
| 硫化水素 | H₂S | 
| 硫化鉄 | FeS | 
| 硫化銅 | CuS | 
| 酢酸 | CH₃COOH | 
| 水酸化ナトリウム | NaOH | 
| 水酸化カリウム | KOH | 
| 水酸化カルシウム | Ca(OH)₂ | 
| 水酸化バリウム | Ba(OH)₂ | 
| 硫酸 | H₂SO₄ | 
| 硫酸銅 | CuSO₄ | 
| 硫酸バリウム | BaSO₄ | 
| 炭酸水素ナトリウム | NaHCO₃ | 
| 炭酸ナトリウム | Na₂CO₃ | 
| 硝酸 | HNO₃ | 
| メタン | CH₄ | 
余裕があれば、次の5個の化合物も覚えておくと、安心です。
| 化合物の物質名 | 化学式 | 
| 塩化アンモニウム | NH₄Cl | 
| 硫酸亜鉛 | ZnSO₄ | 
| 硫酸マグネシウム | MgSO₄ | 
| 硝酸カリウム | KNO₃ | 
| 硝酸銀 | AgNO₃ | 
化合物の化学式を覚えるポイントは、かたまりを理解することです。
化合物のかたまり
- 塩化○○・・・・・○○Cl
 - 酸化○○・・・・・○○O
 - 水酸化○○・・・○○OH
 - 硫化○○・・・・・○○S
 - 硫酸○○・・・・・○○SO₄
 - 炭酸○○・・・・・○○CO₃
 - 硝酸○○・・・・・○○NO₃
 
化合物のなかには、分子をつくるものと、分子をつくらないものがあります。
2種類の化合物
- 分子をつくる
→H₂O、CO₂、NH₃ - 分子をつくらない
→NaCl、FeS、MgO
※金属の化合物に多い 
化学式を覚えるコツ|中学理科
化学式を覚えるコツは、次の3つです。
化学式を覚えるコツ
- 元素記号を覚える
 - 化学式のつくりを理解する
 - 頭にすりこむ
 
化学式を覚えるコツ1【元素記号覚える】
化学式を覚えるために、まず元素記号を覚えます。下の記事を参考にしてください。
化学式を覚えるコツ2【化学式を理解】
元素記号を覚えたら、化学式のつくりをざっくり理解しましょう。理解したうえで暗記すると、記憶に定着しやすいです。
中学理科における化学式は、大きく次の3つに分かれます。
中学理科の化学式3パターン
- 分子をつくる単体の化学式
 - 分子をつくらない単体の化学式
 - 化合物の化学式
 
1.分子をつくる単体の化学式
 分子をつくる単体の化学式は、塩素Cl₂、酸素O₂、水素H₂、窒素N₂の4つだけです。
「エサスイッチは2回押せ」
- エ・・・・・塩素;Cl₂
 - サ・・・・・酸素;O₂
 - スイ・・・水素;H₂
 - ッチ・・・窒素;N₂
 
右下に「₂」をつけて、2粒の分子にします。
2.分子をつくらない単体の化学式
 分子をつくらない単体の化学式は、元素記号をそのまま書きます。

3.化合物の化学式
 

化合物の化学式には、かたまりがあります。
化合物のかたまり
- 塩化○○・・・・・○○Cl
 - 酸化○○・・・・・○○O
 - 水酸化○○・・・○○OH
 - 硫化○○・・・・・○○S
 - 硫酸○○・・・・・○○SO₄
 - 炭酸○○・・・・・○○CO₃
 - 硝酸○○・・・・・○○NO₃
 
化学式を覚えるコツ3【頭にすりこむ】
科学にもとづく、最適な暗記法を紹介します▼
暗記する最適な方法
- 声を出し、紙に書き、目で読み、多くの五感をつかって暗記する
 - 次のタイミングで復習する
1回目;翌日
2回目;その1週間後
3回目;その2週間後
4回目;その1ヵ月後
5回目;その2ヵ月後 - 復習の最も効果的な方法は、白紙に覚えていることを書き出すこと
 
化学式を理解するために知っておくべきこと|中2理科 化学
化学式は、元素や原子、分子のつくりを理解しておくと、スムーズに覚えやすくなります。
そこで本章では、物質をつくっている粒子や、物質について解説します。
本章で学べる内容
- 原子と元素
 - 分子をつくる物質と分子をつくらない物質
 - 単体と化合物
 - 純物質と混合物
 
原子と元素
原子は、物質をつくっている小さな粒子です。
原子の特徴
- 化学変化でそれ以上分けられない
 - 化学変化で新しくできたりしないし、種類が変わったりしないし、なくなったりしない
 - 種類によって、質量や大きさが決まっている
 
元素記号は、原子の種類を表す記号です。原子の種類は、118種類あります。

1円玉1枚をつくっている原子の数は、約22200000000000000000000個です。
 1円玉をつくっている元素は、アルミニウム(Al)です。
分子をつくる物質と分子をつくらない物質
物質は、次の4つに分けられます。
物質の4分類
- 分子をつくる単体
 - 分子をつくらない単体
 - 分子をつくる化合物
 - 分子をつくらない化合物
 
上記パターンについて、項目ごとに解説します。
1.分子をつくる単体
分子をつくる単体のうち、中学理科では塩素、酸素、水素、窒素の4つがよく出題されます。
「エサスイッチは2回押せ」
- エ・・・・・塩素(えんそ);Cl₂
 - サ・・・・・酸素(さんそ);O₂
 - スイ・・・水素(すいそ);H₂
 - ッチ・・・窒素(ちっそ);N₂
 
2.分子をつくらない単体
分子をつくらない単体のうち、ナトリウムやマグネシウムなどの金属では、原子がたくさんつながって物質をつくっています。
つながっている数が非常に多く、つくっている物質の質量によって原子の数が異なるため、右下に数字をつけません。
分子をつくる単体と分子をつくらない単体のちがいは、下図のとおりです。

金属以外では、炭素Cや硫黄Sなども、上図の右側のようなつながり方をします。
 なお、ヘリウムHeなどは、原子どうしがつながらず、1つの原子だけで物質をつくっています。
分子をつくらない単体の化学式をまとめたのが、下表です。
| 分子をつくらない単体 | 化学式 | |
| 気体 | ヘリウム | He | 
| 非金属 | 炭素 | C | 
| 硫黄 | S | |
| 金属 | ナトリウム | Na | 
| マグネシウム | Mg | |
| アルミニウム | Al | |
| カリウム | K | |
| カルシウム | Ca | |
| 鉄 | Fe | |
| 銅 | Cu | |
| 亜鉛 | Zn | |
| 銀 | Ag | |
| バリウム | Ba | |
| 水銀 | Hg | 
3.分子をつくる化合物
分子をつくる化合物のうち、中学理科でよく登場するものは、次のとおりです。
| 分子をつくる化合物 | 化学式 | 
| 水 | H₂O | 
| 二酸化炭素 | CO₂ | 
| 硫化水素 | H₂S | 
| 酢酸 | CH₃COOH | 
| アンモニア | NH₃ | 
| 塩化水素 | HCl | 
| 過酸化水素 | H₂O₂ | 
| 硫酸 | H₂SO₄ | 
| 硝酸 | HNO₃ | 
| メタン | CH₄ | 
なお、化合物のうち、分子をつくるものとして覚えて損のない化合物は水H₂Oと二酸化炭素CO₂くらいでしょう。
高校入試や中学校の定期テストでは、分子をつくる化合物と分子をつくらない化合物を区別して出題しません。
どの化合物が分子をつくるのか、つくらないのかは、中学理科では覚える必要がないということです。
4.分子をつくらない化合物
分子をつくらない化合物の多くは、○○ナトリウムや○○銅などのように、金属が結びついています。
化合物のうち、中学理科で登場する分子をつくらない物質は、次のとおりです。
| 分子をつくらない化合物 | 化学式 | 
| 塩化ナトリウム | NaCl | 
| 塩化銅 | CuCl₂ | 
| 酸化銅 | CuO | 
| 酸化銀 | Ag₂O | 
| 酸化マグネシウム | MgO | 
| 硫化鉄 | FeS | 
| 硫化銅 | CuS | 
| 水酸化ナトリウム | NaOH | 
| 水酸化カリウム | KOH | 
| 水酸化カルシウム | Ca(OH)₂ | 
| 水酸化バリウム | Ba(OH)₂ | 
| 硫酸銅 | CuSO₄ | 
| 硫酸バリウム | BaSO₄ | 
| 炭酸水素ナトリウム | NaHCO₃ | 
| 炭酸ナトリウム | Na₂CO₃ | 
中学理科では、化合物が分子をつくるかつからないかは出題されにくいです。
詳しくは高校の化学で、共有結合やイオン結合、金属結合という内容で学習します。
単体と化合物
物資は、ふくまれる元素の種類によって、単体と化合物に分けられます。
単体と化合物
- 単体 ;元素が1種類
→化学反応で分解できない
例)H₂、O₂、Feなど - 化合物;元素が2種類以上
→化学反応で別の物質に分解できる
例)CO₂、NaCl、H₂Oなど - 単体と化合物は、純物質である
 
例えば、空気にふくまれる気体である窒素、酸素、二酸化炭素を、単体と化合物に分けてみましょう。
窒素N₂と酸素O₂
二酸化炭素CO₂
純物質と混合物
物質は、次のように純物質と混合物に分けられます。
純物質と混合物
- 純物質;1種類の物質でできている
※単体の純物質と、化合物の純物質がある - 混合物;2種類以上の純物質でできている
混合物の例)空気、海水、原油など 
(例題)
 空気は、窒素や酸素、二酸化炭素などの(A)が混ざり合っている(B)である。窒素や酸素は(C)であり、二酸化炭素は(D)である。
 
 A 純物質
 B 混合物
 C 単体
 D 化合物
 
化学式と化学反応式の違い|中2理科 化学
化学式と化学反応式は、別のものです。
中学校の理科では、同じような時期に、化学式と化学反応式を学習するため、同じものだと勘違いしてしまう方が多いです。
化学式と化学反応式の、大きな違いは次の2点です。
化学式と化学反応式のちがい
- 化学式は物質を表す式【矢印なし】
 - 化学反応式は反応を表す式【矢印あり】
 
詳しく解説します。
化学式は物質を表す式
化学式は、元素記号と数字を用いて、物質そのものを表す式です。
数学では、数式を学習します。数式は、等号「=」や不等号「>」などを用います。
化学式は「=」や「→」を使いません。
化学式とは、H₂O、CO₂、Ca(OH)₂などのことです。
化学反応式は反応を表す式
化学反応式は、化学変化(化学反応)を化学式で表す式です。矢印(→)を用います。
水素と酸素が結びつき、水ができる反応を化学反応式で表すと、下のようになります。
   2H₂ +   O₂  → 2H₂O
 ( 水素 + 酸素 → 水 )
化学反応式のなかに、H₂やO₂のような化学式を書きます。数式のように「=」ではなく、矢印「→」を用います。
【まとめノート】絶対に覚えたい化学式一覧を書いて覚えよう|中2理科 化学
本記事では、高校入試や定期テストによく出る化学式について解説しました。
分子と化学式の関係については、次のようにまとめるといいでしょう。

上のノート内で、重要なことは次のとおりです。
- 化学式は、元素記号と数字で表す
 - 分子は、原子が結びついてできる
 - 分子をつくらない物質もある
 
分子の化学式を覚えるときには、分子モデルを書いて、イメージしながら覚えましょう。
純物質と混合物、単体と化合物の関係は、下のノートを参考にしてください。

化学式について学習してから、純物質と混合物について考えると、理解が深まります。
中学2年で覚えてほしい化学式は、下のノートのとおりです。

以上、中学2年生の化学分野『分子と化学式』についての解説でした。
原子と元素は、こちらから復習できます▼
この記事が、皆さんの理解のお役に立てれば幸いです。






